理想的な上達のサイクルについて選手目線で長年考えた結果を発表する

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ビジネスの世界で良く聞く言葉として

「PDCAサイクル」

と言う言葉がある。

 

簡略化してご説明すれば、

 

P Plan(計画)
D Do(実行)
C Check(評価)
A Act(改善)

 

というように、

 

「計画を立て、それに沿って実行する。

 逐一内容を評価し、駄目なところを改善する。」

 

という順番で物事に取り組もうという指針だ。

 

このように、事業の成功に必要なサイクルというのはある程度研究や整理が進んでいる。

 

では、サッカー選手、それも伸び盛りの中高生がそういったサイクルを知り、意識してトレーニングしたらより成長が見込めるのではないだろうか?

 

指導者の方々にはこのようなサイクル、あるいはここ数年で一気に浸透した

「ピリオダイゼーション」

という考え方を元にトレーニング計画を練っている方も居るだろう。

 

こちらは「期分けをして目標達成を目指す」という考え方となる。

なお、話題となった「戦術的ピリオダイゼーション」というのはもう少し違った話となってくるため、今回は触れないこととする。

 

 

では選手自身は、どんなプランを持って成長するために取り組めばいいのか。

筆者の18年間に渡る選手経験から、あえて徹頭徹尾選手目線で考えた結論を言語化していきたい。

 

これを読んだ選手の皆様の成長スピードが上がったり、指導者の方のトレーニングの参考となれば幸いである。

 

なお、ここでは実戦におけるプレーの改善についてお話ししたい。

数ヶ月単位で見るようなフィジカルや、単純なキックの精度などは量を重ねるしかない。

相手が居て変動する状況でどう上達するか、という点に焦点を置いてお話ししたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の考えた最強サイクル(仮)

 

 

 

ではいきなりではあるが、筆者の考えたサイクルを。

 

 

 

「ある局面で上手くいかなかった場面を経験する」

「次に行うまでの時間に改善策や次の手を考える」

「再び試す、トライする」

「最初に戻る」

 

 

滅茶苦茶当たり前のことしか書いていない。

 

筆者が伝えたい重点はいくつかあるのだが、まずはこのプロセスの解説からしていきたい。

 

 

課題を得ることが最初

 

 

よく言われるPDCAでは最初に計画が来る。

しかし、選手としてプレーしている場合、最初に計画というのはお勧めしない。

 

なぜか。

例えばフィジカルのような、目に見える数字で表せる課題であればこの順で取り組んでも良いだろう。

プロになるために必要な能力を調べ、それと自分の現状を比較し、何ヶ月後に○%まで伸ばす。

そんな計画を立てるのも重要となる。

 

だが、プレーの改善という視点ではそうはいかない。

キックの精度や筋力と違い、より明確な理由が見えてくるのがミスだ。

 

なぜ前を向くべき状況でターンが出来なかったのか。

なぜ縦パスを引っかけてしまったのか。

なぜドリブルで抜かれてしまったのか。

 

単純に「ヘタ」では片付けられないようなプレーの改善が、選手としての成長には不可欠であり大成するための絶対条件だ。

キックの精度が高いかよりも、適切なプレーが出来ているかの方が大事なのだ。

 

だからこそ、上手くいかなかった場面を経験しなくてはならない。

そして「ダメだった」で終わらせずに、原因を自分の中で探すことが大切だ。

見つかった原因が間違っていてもいい。

とにかく、その試行錯誤の回数を増やすことが上達の加速へと繋がっていく。

 

だから、指導者も有名な選手も「チャレンジが大切」と口にしているのだと思う。

挑んでみなければ、なぜ出来ないかが分からない。

分からないと、成長するヒントも可能性も得られない。

 

 

失敗を実のある物にするために

 

 

「失敗は成功の母」とはよく言われる。

しかし、得るものの無い失敗は無意味で無駄だ。

失敗したときに原因を見つけられるかが、意味ある失敗に出来るかの分かれ目となる。

 

例えば、「前を向けない」という失敗をしたとする。

この時、いくつかの原因が考えられる。

 

受ける前にスペースを見れていないのか。

体の向きが悪いのか。

トラップの技術そのものが低いのか。

 

もしスペースが見れていないのであれば、受ける前の段階に問題がある。

パスが来る前にしっかりと周りを把握しなくてはいけない。

体の向きが悪いのであれば、事前に作っておかなくてはいけない。

 

このような失敗は、指導者が指摘してくれることもあるが必ずそうとは限らない。

プレーのレベルが上がれば、ミスでは無いがもっと良いプレーがあったという状況もあるだろう。

前を向かなくても怒られないが、向けたら最高だった、というようなシーンだ。

それらに自分で気付けるようになれば、指導者が指摘する回数よりも多くの試行錯誤が出来る。

ひいては他の選手よりも早く成長できることに繋がる。

 

 

 

次の実戦の場で意識する

 

 

原因が見つかったら、それを意識してプレーしてみよう。

パスが来る前に必ず背後を見ておく、とか。

いつパスが来てもいいように体の向きを整え続ける、とか。

 

このように、ミス→原因特定→改善という流れを作ることが選手としては大切になる。

指導者の声かけによって要求したり気付かせるのも大事だが、自力で出来ることがベストだ。

 

 

 

意識的にサイクルを回すメリット

 

このサイクル自体は、意識的か無意識かは別として行っている選手がほとんどだと思う。

というより、上達するには欠かせない以上やっていて当然ではある。

 

ではこれを意識して取り組むことで、知らず知らずにやっていたときと何が変わるのだろうか。

 

 

①失敗の質が上がる

 

 

無意識にやっているということ、これは実は危険だ。

試行錯誤というのは、意図して方法を変えたり考え方を変えることで習得することだ。

逆に言えば、間違ったやり方を潰すことが出来る。

このやり方ではダメだ、では次はどうしようと考えることが出来る。

 

これを無意識に頼ってしまうと、同じ失敗を重ねてしまう危険性がある。

同じ失敗から得られる物は同じ物だけだ。

一度でいい失敗を何度も重ねてしまうことは無駄である。

ただ無駄なだけでは無く、自信を失ったり指導者からの評価が下がったりとマイナスの面も持つ失敗は、しないに超したことは無い。

 

同じシーンを何度も失敗するのはしょうがない。

出来ないことが出来るようになるのはそう簡単では無い。

問題は、その失敗から得た物なのだ。

それは言い換えれば、「失敗の質」と呼ぶことも出来る。

質の高い失敗からは、より明確な解決すべき課題を得ることが出来る。

 

今まで意識してなかったことを意識して失敗するのか。

何も考えずに同じように失敗するのか。

差は明確だ。

 

 

②課題やヒントを得る機会が増える

 

 

失敗したときに何を得るかが大事だと書いた。

言ってしまえば、これは「課題」「ヒント」だ。

解決するべき課題を認識すればするだけ、成長に繋がるのはお分かりだろう。

そして試行錯誤する中で、前進した手応えやとっかかりが見えるときがある。

 

これが解決へ近付くヒントだ。

 

ヒントというと分かりにくいかもしれないが、一例として

「前を向くために周りを見る。だいたい10mぐらい前を中心に見たら全体が見やすいな」

という感覚、分かるだろうか。

上手くいきそうだという感覚や、上手くいったときの理由。

心がけかもしれないし、体の使い方かもしれないし、目線の置き所かもしれない。

具体的にこれをやると成功しやすい、という取っ掛かりがヒントだ。

 

この二つの増やし方として、

 

・一回の失敗で得るものを増やす(①で書いた部分)
・失敗の回数を増やす(チャレンジすること)
・失敗を見逃さない

 

ということが考えられる。

 

この一番最後に書いた「失敗を見逃さない」というところにも、意識したメリットが出てくる。

 

「うーん、なんとなく上手くいかんなあ」

と思っただけでプレーが切れてしまったら、そこからは何も得ることが出来ない。

 

上手くいかなかったときに、意識する癖が付いていれば

「何が上手くいかなかったのだろう」

と、分析が出来るようになってくる。

そこからは上記したように、試して考えてのサイクルを回すのみ。

 

大事なのは、常に何か学ぼうという貪欲な意志だ。

「今のプレーから何か得るものはないか」

と常に考え続けることは、間違いなくその意志の具体的な形だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サッカーノートの活用

 

 

 

認識したり思いついた課題や成果。

それを忘れてしまっては3歩進んで2歩下がる状態になってしまう。

確実に積み重ねていくのが成長というものだ。

 

そこで活用したいのが、サッカーノートだ。

 

トレーニングでも試合でもいい。

観戦してるときでも、本を読んでいるときでも。

自分の成長のためになりそうなことは何でも書いていこう。

 

とはいうものの、メインはやはりトレーニングや試合となる。

 

その日にどんな課題が見つかったのか。

どうすれば上手くいきそうか。

 

・脳内の思考を整理する
・得た物を可視化する

 

という点において、サッカーノートは優秀なツールだ。

 

こちらのページでは、そのサッカーノートについてより掘り下げている。

是非参考にしていただきたい。

 

中高生に向けて、サッカーノートの書き方を本気で説明する

 

 

 

最速のサイクルの回し方

 

 

さて、上記のような取り組みを筆者は現役時代に行っていた。

しかし、引退直前に気付いたことがある。

 

 

このサイクル、一日ごとに回す物だという先入観があった。

トレーニングで課題を見つけ、サッカーノートに書いて可視化、次のトレーニングで実行。

それを繰り返す物だと思っていた。

 

しかし、ある日気付いてしまった。

 

 

「これ、一回の休憩毎に出来たらとてつもないスピードで成長できるのでは?」

 

 

言葉にすると分かりにくいので、解説したい。

 

 

一般的にサッカーのトレーニングは、

 

半分ぐらいの選手がトレーニング、残りの選手は休憩。

数分やって、選手が入れ替わって再びトレーニング。

 

というように、小さいセッションを何回も行う形が多い。

 

つまり、「トレーニング→休む」という細かいサイクルを2時間ほど繰り返すわけだ。

 

この毎回の小休憩の度に、

「課題を見つけ、次に活かせるポイントを探す」

ということが出来るようになったら。

 

試行錯誤の回数は飛躍的に上昇するだろう。

 

そしてもしこのスピードでサイクルが回せたら、更に上がある。

 

それは、1プレー毎にサイクルを回すというものだ。

 

トレーニングでボールが外に出る。

コーチが配球して再びスタート。

 

この形でトレーニングしているチームが多いだろう。

一回ボールが切れる度に課題を探すことが出来たらもっと早く成長できるかもしれない。

 

 

もちろんプレーの切れ目は僅かな時間しか無い。

出来るのはちょっとの修正とか、意識の持ち方(もっと前を見ようとか)などの簡単なものになる。

だがそれを数回繰り返して、小休憩で反省や人のプレーを見て勉強して。

それらを次のセッションで試すことが出来たら。

 

それは明らかに成長を加速させる。

 

 

筆者はこれを思いつきながら、実行できなかった。

 

 

 

なぜ筆者は出来なかったのか

 

 

引退してしばらく経った今だからこそ分かる。

筆者がこの最速サイクルを回せなかった理由。

 

「気付いたのが遅すぎた」

 

この一点だ。

 

おそらく、数ヶ月このサイクルを意識していれば実行できていたと思う。

最初は難しくて出来ないが、徐々に習得していたと想像する。

 

だからこそ、このブログを読んでいる未来のある選手たちには是非実行して欲しい。

 

成長とはトレーニングの量だけでは決まらない。

同じ練習をしても、どれだけのものを得られるかで差が付く世界だ。

人はそれを分析せず、「才能」という言葉で片付けてきた。

 

もし才能に対抗できる手段があるとしたら、それは本稿で伝えたような努力による上達スピードの向上だと思う。

一回のプレーで必ず何か学べるようになったら、他の選手の何倍も貴方は成長できるだろう。

その最速のサイクルを目指して、是非取り組んで頂きたい。

出来ないまま引退してしまった筆者の無念を、貴方が晴らしてくれたらこれほど幸せなことも無い。

 

 

 

まとめ

 

 

 

・「課題」→「反省」→「トライ」というサイクル

・ミス、課題に気付けるようになろう

・ただのミスと試行錯誤のミスは質が違う

・可視化、整理のためにサッカーノートを活用しよう

・最速のサイクルは、1プレー毎。
 1日ごとの反省から、より早いサイクルを目指そう。

 

 

 

最速サイクルぶん回し、は効率化においておそらく最速だ。

そして常にそれが出来るようになったら、あらゆるプレーを言語化して理屈で戦える選手になれる。

なぜこのプレーをしたの?なぜこの体の向きなの?といった話を全て説明できる選手。

それは、サッカーの仕組みを理解し戦える証拠であり、プレーの質も当然上がる。

才能よりも貴重な力であり、才能に対抗する唯一の手段だ。

 

成長に悩む選手に、是非取り組んで欲しい。

その悩みの先で得られるものは、宝だから。

 

 

 




 

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@山田有宇太

 

 

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