サッカーにおける前を向くトラップの練習法。実戦で使うためには体の向きがポイント。

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筆者が現役生活の大半をかけて克服しようとし、なお克服できなかった課題。

それが、「前を向くプレー」である。

 

日本人で言えば、香川真司の真骨頂とも言えるプレー。

中盤の選手であれば必須、それ以外のポジションでも前を向く、攻撃方向を向いてトラップするというのは重要なスキルである。

特にボールを保持するチームが増えてきた現代では、正しいトラップが出来ない選手はどれだけ秀でていても上のレベルへ進むことが難しくなってきている。

 

そこで今回は、

・なぜ前を向くトラップが重要なのか

・具体的にどんなトレーニングをすれば良いのか

という点を書いていきたい。筆者はこの課題を自覚してから8年間取り組み、最後まで克服できなかった。

 

だが今だから分かることがある。

あんな自主トレしてたんじゃ、あんなメンタルしてたんじゃ出来るようにはならない。

 

そんな筆者の選手人生を是非反面教師にして欲しい。

前を向ける。ただそれだけでサッカーは大きく変わる。

 

 

追記

 

この記事を書いてしばらくしたあと、改めて体の向きに関する考え方を改めました。

それに伴い、この記事も大きくリライトしています。

こちらの記事も合わせてお読みくださいませ。

 

 

 

 

なぜ前を向くトラップが重要なのか

 

割と今更な話なんだがまずはここを整理したい。

 

今のサッカーは、どのポジションの選手も攻撃に絡む時代となった。

チームのスタイルによって頻度や重要性は変わってくるが、どこでも評価の一つに

 

「前を向けるかどうか」

 

という能力は間違いなく入ってくる。例外はセンターバックぐらい。

つい先日引退した内田篤人も、このトラップが抜群に上手い選手であった。

今のJリーグで言えばトップはイニエスタ。その他にも家長、仲川など様々な名手がいる。

 

ではそもそも、なぜ前を向くことが重要なのか。それを説明していこう。

 

①DFを止める

 

一番最初に少し難解な理由を持ってきた。だがこれが一番大きい。

 

この図を見て欲しい。

 

 

このような形を例としてあげる。

白チームが上方向に攻めている状態だ。

 

この形から、左側の選手にパスを出す。

 

 

 

 

もし奪われるのを怖がって後ろを向いてしまったら、DFは一気に奪いに来る。

その理由として、

ゴールを向いていないからリスクが小さい

ということが大きい。後ろ向きであればDFとしては恐怖を感じること無くプレッシャーをかけられる。

 

ではこのトラップの時に、勇気を持って前を向いたらどうなるか。

 

 

 

前を向いたことで、DFは突破される危険性が出てくる。

そのため、後ろを向いたときよりも警戒し奪いに行くことが出来ない。

 

これが前を向く一番大きいメリットだ。

前を向き、DFに正対することでDFを止める。あるいは下がらせることが出来る。

攻撃とはゴールを奪う、そのために前進することだ。

極端な話、受ける選手が全員前を向くことが出来ればDFは取りに行くことが出来なくなってしまう。

 

そしてここで重要なことがもう一つ。

 

奪われることを怖がって後ろを向くよりも、

勇気をもって前を向いたほうが相手に対して優位に立てる

 

ということだ。

安全策のつもりが自分を窮地に追い込んでしまうというのは、実は気付くことが難しい。失わないためのトラップによって、自身に来るプレスが強まってしまっているのだ。

だがこれに気付けなければ

「もっとトラップが上手くならなきゃ・・・」

とトラップの質にばかり目が行ってしまう。だからこそここで伝えたい。

 

奪われたくなければ、前を向く能力を身に着けるべし。

 

②味方の動き出しを引き出す

 

攻撃において大事なのは、出し手だけではない。

受け手の動き出しが必要不可欠だ。

 

だが受け手が前を向けなければ、自分より前の選手は動き出してくれない。

当然だ、前にパスが出る可能性を感じないからだ。

 

前線にパスをするためには、前線の様子を見なくてはいけない。

そのために前を向く。

見てもらえてる、と感じた前線が動き出す。

 

逆に言えば、前を向いた選手を作るためにボールを回しているのであり、前を向くべき時に前を向けないのは悪だ。

失わないために後ろを向いてしまう選手は、それを胸に刻んで練習しよう。

 

 

筆者が取り組んでいたメニュー

 

 

とはいうものの、この技術に対して自主トレで上手くなろうとしてる選手は多いだろう。

 

ターンという動作は非常にシンプルだ。

だからこそ自主トレでも取り組むのは難しくない。

 

 

このようにコーンを四角に置いて、その中でターンをする。非常にシンプルだ。

もっと言えば、ただの対面パスでもいい。

なるべく小さいスペースでターンする、というイメージさえ出来ればいつでもどこでも出来るトレーニングだ。

 

実際、筆者はよくこれを行っていた。

更に発展形を考えるのであれば、寄りながらのトラップなどがある。

 

 

 

こんな形でやればいい。

少し疲れるだけで、特にやることは変わりない。動きながらトラップ、と同時に体の向きを変えるという技術は非常に実用性が高い。

 

あとやるべき、意識するべきは体の向き。

 

先ほどのメニューでは、

・ボールに対して正面を向き
・180°ターンする

という状況だった。

 

それに対して変化を付けるべく

 

 

ボールに対して横を向くことだ。

基本的に、パスを受ける際は順序として

・ボールに対して正対しパスを待つ
 ↓
・パスの質に応じてその後の動きが決まる

というルールに基づいて動いた方がいい。(参考記事→「正しい体の向き」についての議論を自分なりに整理した)

 

ただし、相手DFとの距離が確保できている場合、ファーストタッチの瞬間では無くボールの移動中に体の向きを作った方がより優位に立てる。

 

 

このように、あえてファーストタッチより前から体の向きを作ることで駆け引きにおいて優位に立てる。

この駆け引きが圧倒的に上手かったのがジダンだ。体の向きを事前に作り、懐の深さを活かしてファーストタッチ一つで相手を左右に揺さぶるのが非常に上手かった。

このプレーを身に付けるためには、ボールに対して体の向きを横に作ってファーストタッチでターンする、という練習が良いと思う。

 

このように前を向くと言っても止まっているのか、動きながらなのか。真後ろなのか横なのか。様々なシチュエーションが考えられる。

それらに対応するために、様々なパターンを取り入れることが大事だ。飽きないし。

(関連記事・・・自主トレでトラップを上達させるポイントを教えます)

 

 

前を向けない理由

 

ここからはやや感覚的な話になるが、真後ろを向いてしまうと前を向くプレーが出来ない理由を選手目線で考えたい。

 

判断ミス

 

先の図にも上げたが、DFの動きが見れないのだからターンするべきかキープするべきかの判断が出来ない。

DFが取りに行けない状況なのに、見えてないからビビってしまって前を向けなかったり。

あるいは全力で潰しに来ているのに前を向こうとして奪われたり。

そこで奪われてしまえば「失敗した経験」が記憶に残り、次回からの前を向くチャレンジがしにくくなる。

 

DFを止められない

 

前を見ておくことで、DFに対して

「俺はお前が見えているぞ」

というアピールをすることが出来る。

 

全力で奪いに行って一発で交わされる危険性を考えれば、前を向けそうな選手に対して奪いに行くことはできないだろう。

自分が守備しているときにも同じように行く行かないを判断しているはずだ。

 

勇気をもって前を見ることで、技術より大切な駆け引きで優位に立てるのだ。

それを知識として知らなければ、ずーっと前を向けない状況を打破できない選手も少なくない。

だが逆に言えばセンスや才能ではなく知識と頭脳で身に着けることが出来るはずだ。

 

 

 




 

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