部活の合宿、おねしょの恐怖は深刻な問題だと調べて初めて知った話。対策と、それよりも大事なこととは。

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先日、筆者の質問箱へある質問が届いた。

 

高校で合宿とかで寝しょんべんする人ゼロにできると思う?追い込みきつい時も含めて。ごめんまじめな質問です。(原文ママ)

 

これに対して筆者は

「極限近くまで追い込まれると難しいですね、水分補給を日頃から上達させるぐらいですか…トレーニング中に上手く補給できれば危険性は減るかも。」

という解答をしたのだが、それを皮切りとして何問も合宿中のおねしょに関する質問が相次いだ。筆者が思っていた以上にどうやらこの問題は身近、かつ深刻なようである。そこで合宿とおねしょについて調べて見たところ、予想を遙かに超えた知見を得ることができた。今回はなかなか話題に登ることが無い、合宿とおねしょについて皆さんに知って欲しい。いや真面目に、結構深刻な事態が各地で起きているようなのだ。

 

 

 

 

筆者はおねしょに遭遇しなかった

 

手前味噌で申し訳ないが、筆者はそれなりに厳しい高校で部活動生活を送ってきた。3泊4日で走り合宿も行ったし、一日二試合を3日間やりきったこともある。だが筆者本人はもちろん、同級生先輩後輩いずれもおねしょをした状況には遭遇しなかった。これは偶然なのだろうか、それとも巧妙に隠した人がいたのだろうか、筆者には知るよしも無い。

ただ、確かに合宿という特殊な状況で疲れていればおねしょのようなことも起こりえるだろうし、そうでなくても普段と違う寝床であればおねしょが怖くなるのは筆者だけでは無いと思う。一度もおねしょをすることは無かったが、寝る直前は不安になりトイレに行く回数が増えた。それは筆者だけでは無く、部員のほとんどがそうだった。皆冗談で「おねしょするなよ?」と会話はしていたが実のところみんなびびってはいたわけだ。それが功を奏しておねしょをした人はいなかったのだが。

 

アンケートを採った

 

そこで、どれだけ起こることなのか、Twitterでアンケートを採ることにした。その結果をご覧いただきたい。

 

 

78人もの方に、おねしょについてアンケートを答えていただいた、この場を借りて感謝申し上げたい。

なんとサッカー部だけで遭遇した人は14.1%、他の部活も合わせれば25.6%。伝聞も含めると29.5%もの方が縁があるということになった。約3割だ。これが仮に20人ほどの合宿で遭遇した人だとすれば、200人に3人、1.5%の割合でおねしょが発生するということになる。もちろんこれは仮定に仮定を重ねた概算だ。だが、あながち的外れな数字でも無いのかも知れない。これは合宿の状況とは関連が無い数字だが、中学生の夜尿症の割合は1~3%と言われている。その割合を考えれば、合宿のような状況でおねしょをしてしまうのが1.5%というのは実は近いのかも知れない。

 

原因を推測してみる

 

ここからは調べたことに加えて、自身の経験も踏まえておねしょをしてしまう原因を推測してみたい。

 

①疲労

 

当然ながら、合宿中は普段よりも練習量が増える。ハードな状況に体がついて行けなければ、普段しないおねしょをしてしまうのは納得できる。

 

②ストレス

 

普段と違う寝床、普段よりきつい状況、常にある顧問の目。合宿中は精神状態がハイになって気付きにくいが、ストレスを受けていることは間違いない。先ほど挙げた夜尿症もストレスが原因であることが多いという事からも、ストレスが原因になることは間違いなさそうだ。

 

③食事、水分摂取のリズムの変化

 

これが個人的に一番気になっている点だ。

合宿の際、多くの学校では食事を大量に食べるよう指導されることが多い。これもそのうち別記事で扱いたいが、特に必要ない量まで食べさせられることが多いと思う。食事にも水分は含まれていることは言うまでも無い。この水分の影響も、決して少なくないと思う。

そしてもう一つ、喉の渇き。普段より多いトレーニングをすれば、その分だけ汗をかく。喉が渇いたら水分を取る。疲労が夜に出てきて多量の食事に加えて水を多めに飲んだ場合、おねしょをしやすくなる可能性は高い。その状況で高いストレスや強い疲労感が重なるのだ。危険性はより高まってくる。

 

調べて初めて知った凄惨な事例

 

ここまでは原因を考えてきた。筆者は合宿中のおねしょに関して生まれて初めて真剣に調べたのだが、困っている人が多いことを初めて知った。Yahoo!知恵袋へのおねしょ対策の質問の多さからもそれは窺えた。そしてもう一つ、ブログなどで保護者の方が子供の体験談を書いている人が多かった。その事例を見る中で、凄惨な事例を見つけた。

ごく簡単に言ってしまえば、おねしょが原因でいじめに発展し、不登校になってしまったという事例だ。

この事例はおそらく珍しくないと思う。おねしょ自体は珍しいが、それが原因で心の傷を負う子供はその中では珍しくないのでは無いか。体育会系のノリの中でおねしょのような事例が起これば、どんな自体になるのか想像に難くない。もちろん笑い話で済ませられる友達に囲まれていれば問題なく乗り越えられるだろうが、みんながみんな素晴らしいともに囲まれているわけでは無いのだ。

 

おねしょを予防する

 

ではまず、どう予防するかを考えよう。

 

①食事のタイミングを早める

 

夜、食事を取ってから就寝までにある程度時間をおくことは一つの予防策になるだろう。それを実現するにはトレーニングを遅くまでしないというタイムテーブルの設定から始まる。これは選手というよりも指導者側で取るべき対策となる。

 

②水分を寝る前に取り過ぎない

 

これは選手達が取り組むこと。遅れて喉の渇きがやってきたときに水をがぶ飲みすることだけは避けたい。特に合宿所では自販機でスポーツドリンクやジュースが買えるようになっている。それらの味も相まって多量に飲水してしまう可能性は高いため、その危険性を認識しておこう。そもそも遅れて喉の渇きが来るということは、トレーニング中の水分補給がうまくできていないと言うことでもある。水分補給の技術、というものを身につけることが一番の予防なのかもしれない。

 

③おむつ

 

これは真面目な話だが、おむつを履くというのは不安な子供にはありだと思う。中高生でも履けるサイズのおむつは意外と容易に手に入る。布団を汚し宿泊先に迷惑をかけてしまうことを考えれば必要な対策の一つだ。特に合宿に限らず稀におねしょをしてしまう子供も少なくないため、そういった人には必須と言えるかもしれない。

 

 

 

予防するよりも大切なこと

 

ここまでは原因、予防策を考えてきた。だが筆者が最も大切だと思うのは、最悪の事態を招かないことだ。最悪の事態はおねしょをすることではなく、それが原因で心の傷を負うことだと思う。

もちろん大前提として宿泊先に迷惑がかかるというのはあるが、おねしょ自体は正直どうしようもない。運みたいなものだ。した本人は恥ずかしいだろうし隠したくなるだろう。筆者が実際にやらかしたら顔面蒼白になって涙目だ。周囲だってネタにしたくなるのもよく分かる。だがそれをきっかけに人としての尊厳を踏みにじるようなことがあってはならない。

それを避けるためには、事前に話をしておくしか無いとも思う。おねしょは避けたいがしてしまってもしょうが無いこと。宿泊先には迷惑がかかるから隠さずに報告すること。周囲もからかったりしないこと。心を許している友人ならばほどよくネタにして、笑い話として済ませてくれるかも知れない。だが中高生にそこまでの気遣いを期待するよりは、自制するように話をしておくべきだと思う。これはおねしょだけではなく走り込みによる嘔吐なども同様だろう。もっとも嘔吐に関しては走り合宿で全体の1/3が吐いていたため誰もネタにできず明日は我が身だったのだが、今思えばおねしょも明日は我が身なのかもしれない。

 

なぜこんな記事を書いたか

 

最初はおねしょについて記事を書くなんて思ってもいなかった。だが少しでも困っている人がいると分かった以上、書きたくなったのだ。しかも調べても対策も何も出てこない。病気としての夜尿症はあるがそれとはまた別のお話だ。困っている人がいるのに誰も書かないならば、俺が書くしか無いと思ったのだ。だから書いた。この記事がどこまで届くかは分からない。だが困っている人や助けてあげたい指導者の方、誰か一人でも力になれれば嬉しい。

 

 




 

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