「内田篤人のFOOTBALL TIME」より今野泰幸に学ぶ「単純な動作の質が選手の質に直結するという話」

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DAZNで配信されている、「内田篤人のFOOT BALL TIME」という番組がある。

この番組には時折ゲストとして、現役の選手や引退した選手が登場し、うっちーといろんな話をしてくれる回があるのだが。

 

つい先日登場した今野泰幸の回にて、「今野流ボールの奪い方」というテーマでちょっとした動作も交えながら話した内容が面白かったと共に、筆者に苦い記憶を思い出させた。

これは書き残さねば、と思ったため記事にする。

 

 

今野流ボールの奪い方

 

概要

 

今野が話した内容としては、

 

・トラップするまで、ボールが動いている間に全力で距離を詰める
 このとき、圧をかけて相手の顔を下げさせることが出来れば理想的。

・トラップの瞬間に体を当ててボールを奪いに行く。

・そのために大切なのは「しっかり止まること」。
 相手がトラップする瞬間に制止していないと、一発で入れ替わってしまう。

 

というものだった。もちろん視聴者の層も考えて簡単な表現を用いているとは思うが分かりやすく参考になる部分は多い。

特に「しっかり止まる」というのは大事。井手口なんかもこの能力が非常に高いイメージである。

 

決して目新しい内容ではない

 

だが、実際に現場で指導をしていたりプレーしている人ならば分かってくれると思うが、この内容は全く目新しくも独自のものでもない。

指導者にはよく言われるし、守備の基礎として理屈自体は知っている人がほとんど、というぐらいのものだ。

 

だが、そんな基本的な部分こそ選手の質を左右するものだと思うようになった。

そう思うようになったのは、筆者の現役時代の経験からである。

 

筆者の経験

 

アジリティのトレーニング

 

筆者の高校では、ステップワークのトレーニングをよく行っていた。

ラダーを使ったりマーカーをジグザグに抜けたり、と一般的なトレーニングだ。

 

で、そのステップワークをこなした後に「前方へダッシュ→止まる」という動作が追加されていた。

図にすればこんな感じ。

 

イメージとしては、

ステップ→ボールホルダーにアプローチ→しっかり停止

という練習だったのだと思う。

つまりは先に書いたように、今野が述べたことと同じなのである。

 

どれだけ本気でやれているか

 

最初はみんな一生懸命やるんだよね、こういう基礎的なトレーニング。

でもトレーニングが日常になっていくと人はどうなるか。

多くの人が、全てを100%では出来なくなっていく。

 

ステップを8割ぐらいで行ったり。

最後のダッシュを抜いたり。

ストップが適当になったり。

 

慣れというのは、そういう怖さがある。そうならないように、と思っていてもいつの間にか惰性になってしまう。

 

目的意識、モチベの維持

 

当時の筆者がなぜ常に100%でトレーニングできなかったのか、今ならちょっと分かる。

「止まる」という動作がどれだけ大事か分かっていなかった。

そして初心、最初の頃の満々だったやる気を忘れていってしまったことだ。

 

よく成功した選手のインタビューで

「あの日の悔しさをバネに練習してきました」

という言葉が出てくる。この言葉を言えることがどれだけ凄いか、筆者には痛いほど分かる。

 

苦い経験を活かせない弱さ

 

筆者はかつて、帝京可児や野洲といった強豪校のトップチームと試合をしたことがある。

その時に、自分のレベルと全国レベルの差を身をもって痛感した。これは紛れもなく貴重な経験である。

だが、その経験と悔しさをバネに練習し続けたのは1ヶ月程度だっただろうか。上がったモチベーションはいつの間にか平常に戻ってしまっていた。

 

これは紛れもない、自分の弱さである。

せっかく全国レベルを体感できたのだ、彼らをスターと思わずにライバルとして認識し、日頃のトレーニングから彼らのレベルを目標に置くべきだった。

もちろんそれが分かってたし、最初の1ヶ月はそれを意識していた。けれども、それが続かなかった。

どちらかというと顧問の評価や同じ学校のライバルを気にしてしまっていた。もっと言えば自分の成長に目標を定められなかったのである。

 

これ、筆者の中で大きな後悔の一つとなっている。

 

顧問に言われた言葉を思い出す

 

ステップワークの練習の時や1vs1の練習の際、顧問の先生が言っていたことを思い出した。

「相手をメッシだと思って、ロナウドだと思って本気でやれ」

当時はなに言ってんだと思ってました、ほんとごめんなさい。

この言葉の意味、今ならよく分かる。

しっかり止まろう、とだけ意識している練習と、実際に現実でメッシを相手にしたときでは明らかに体の動きが変わるはずだ。

であれば普段から動きの質の高さを追求するために、シャドウの相手をメッシに例えていたのだと思う。

この言葉に何言ってんだと思ってしまう部分が、悔しさを日頃に活かしきれなかった弱さと繋がっているのかもしれない。

 

改めて今野の言葉を振り返る

 

という筆者の後悔を踏まえて今野が語った極意を見れば、

「みんな知ってるようなことも質次第で日本代表クラスの武器になる」

と受け取ることが出来るのではないだろうか。

そしてそれは、止まる動作に限らない。トラップだって当たり前の行為、シュートだって当たり前の行為。でも一つ一つの質の高さが選手の質を変えると言われれば納得できると思う。

それらの技術と同じように、「止まる」という行為もまた大切なのだ。その単純とも言える動作をどれだけ突き詰められるか、それは日頃の地道なトレーニングにかかっている。

 

普段から理想を突き詰めること

 

普段から高い理想を持って、それを突き詰めること。当たり前のように言われているが毎日、何年もそれを続けられる人はほんの一握りだ。

だからこそ、その重要性を日々振り返って貫いて欲しい。夢が叶うとは限らないが、筆者が今抱えているような後悔はしないはずだ。

部屋に日の丸を飾って代表を意識してましたとか、目に見えるところに目標を張り出して毎日確認してました、というエピソードも聞く。そんなこと意味あるのかよ、と昔は思っていたが理想を突き詰め続ける難しさを知った今なら分かる。

緩みそうな気持ちを毎日引き締め、常に理想を目指すには普通の人が引くような覚悟が必要なのかもしれない。それが筆者には出来なかった。

 

選手の質を変えるのはスーパープレイよりも、小さい動作一つ一つであること。
一つ一つの質を上げるのは、予想以上に大変であること。
出来る人が少ないからこそ、武器として磨き上げる価値があること。

 

そんなことを、FOOTBALL TIMEを見ながら思った。

今野の語ったボールの奪い方の極意は簡単な話が故に、僕の心に刺さったのである。




 

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@山田有宇太

 

 

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