追悼「工藤壮人は俺たちのマサトだった」

553 views

 

 

偉大な男を我々は失ってしまった。

 

 

 

数日前からICUに入っているというニュースは見ていた。

だけど、帰ってきてくれると信じていた。

 

今日は、彼のことを書きたい。

書いている今、訃報を知ってから二時間経過した。

正直に言って、やっと実感が湧いてきたぐらいでしか無い。

ニュースを知って、30分してから涙が止まらなくなった。受け入れるのにそれだけの時間がかかった。

 

追記

書いてる途中で、再び号泣しました。文章がぐちゃぐちゃかもしれません。

 

 

柏の9番

 

かつて、筆者は北嶋秀朗に憧れた。

 


sportiva様より引用

 

小学校のチームでは9番でユニフォームをもらった。後にキーパーをやるのでほぼ無意味だったのだが。

当時はプレースタイルなんて理解も出来ないような年齢だったのに、彼の背中に書いてある番号が好きで仕方なかったのだ。

柏の9番と言えばキタジ、そんな世代の人は案外多いと思う。

泥臭く体を張り起点となる、ニアにダイビングヘッドで飛び込む。

 

そんな男の姿は、サポーターの胸を熱くした。

 

その「柏の9番」を、自ら志願して受け継いだ男。

それが、工藤壮人だった。

 


レイソル公式より引用

 

U-10からレイソルの下部組織所属という、生え抜き中の生え抜き。

工藤壮人、酒井宏樹、武富 孝介を筆頭とする90年生まれ、2009年トップ昇格のレイソルユースは黄金世代とも呼ばれ、9人がプロになるというエリートだった。

その中でも2年後には主力になり、キタジ、田中順也とともにJ1昇格即優勝という偉業を成し遂げる。

 

その後キタジがロアッソへ移籍、工藤が、いや、マサトが9番を志願して背負うことになる。

 

 

武器が無い、が故に強く、そして愛される

 

決してキタジと同じプレースタイルでは無い。

ニアに飛び込む姿は確かに似ていたと言えなくも無い。だがそこだけ。

 

それでも柏をあの当時見ていた人ならば頷いてくれるはず、彼は紛れもなく9番の後継者だった。

 

マサトには、突出した要素はない。ぱっと見では地味とすら言える。

だが、だからこそ彼はピッチであらゆる工夫と取り組みをフル活用して戦っていた。

一瞬の隙を見逃さない動き出し、前線からプレッシングで守備に貢献する運動量と守備の上手さ。

サイドハーフで起用されても必ず水準以上のプレーを見せる万能性。

欠点という欠点が見えない、高水準な基礎技術。

 

そしてなにより、勝利のために泥臭く戦い続ける背中。

それはかつてチームを象徴した男となんら変わりない、頼れる背中だったのだ。

 

チームが勝つために、やれることはなんでもやる。

その姿勢が、「柏の9番はニアに飛び込む」という奇妙な共通点を生み出したのかもしれない。

 

継承されたのは実は番号と言うより、その姿勢を貫く強さだったのだと今になって思う。

 

9番を背負った年に、タイトルを決めるゴール

 

マサトが9番を背負った2013年。

柏レイソルは、ナビスコカップ(現ルヴァンカップ)の決勝で浦和と対戦する。

そこでマサトは、1-0で優勝へ導くゴールを上げた。

 

1分21秒から。

 

このゴール、ニアに飛び込むマサトらしさとは異なる。

だが、ゴール前で駆け引きに完勝する動き出しと頭の良さ、目一杯体を伸ばした難しい体勢からファーへシュートを飛ばす技術の高さ。

マサトらしさが詰まったゴールだと思う。

 

そして、マサトを語る上で絶対に避けて通れない、チャント。

「ダウンタウンのごっつええ感じ」内のコントで作られた曲を採用した、異色のチャント。

 

このゴール直後のバージョンがあったので、こちらもぜひ聴いてみて欲しい。

このチャントがあるからこそ、俺の中では工藤では無くマサトになってしまっていた。

 

 

 

共に戦う男

 

訃報を聞いて、ツイッターをじっと見ていた。

タイムライン上にも、ニュースのリプライにも、引用リツイートにも。

あらゆるところに、マサトに魅了され、マサトを愛した人が沢山いた。

 

勝利のために、全力で戦う。当たり前かもしれない。

けれど、才能溢れる選手達が争う日本サッカー界の頂点といえるプロにおいて、マサトほど熱く、泥臭く、なにより

「一緒に戦ってる」

と思われてくれる選手はそういない。

謙虚で、ストイックで、明るくて、人なつっこい笑顔と試合中の獣のような鋭さがアンバランスで、格好良くて。

選手としても、人間としても、魅力的という言葉では足りないような男。

 

 

我々は、偉大な男を失ってしまった。

けれど、マサトがキタジから受け継いだもの。

目的のために全力で、泥臭く戦う姿勢。

 

それを、サポーターみんなが、選手みんなが、ちょっとずつ受け継げば。

きっとマサトは笑って応援してくれると思える、思わせてくれる男だ。

だから、俺は選手を辞めたけど違うことで頑張ろうと思う。

 

きっとどこか遠くから、くしゃくしゃのいつもの笑顔で笑っていてくれるはずだから。

マサトの背中を見てもらった勇気は、これからも心の中にそっと置いておきたい。

 

 


Jリーグ公式より引用

 

本当にお疲れ様でした。

 




 

筆者のツイッターです。是非フォローを。

@山田有宇太

 

 

全記事を一覧化したサイトマップを制作しました。こちらより、お好きな記事をお読みくださいませ。

サイトマップへ飛ぶ