サッカー観戦の時は「5W1H」を観察しよう。上手くなる最強の観戦法とは。

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このブログに来て頂いた選手の皆様にお聞きしたい。

 

試合を見るとき、きっと上手くなりたいと思って見ていることがあるだろう。

 

どんなことを考えながら見ているだろうか?

技術?体の使い方?判断?

 

今回は、全ての選手が参考に出来る

「最強のサッカー観戦法」

を伝授したい。

 

上手くなるためにサッカーを観戦する選手の皆様、是非参考にして欲しい。

 

キーワードは「5W1H」だ。

 

 

 

 

 

 

 

5W1Hとは?

 

 

そもそもこの「5W1H」という言葉、皆様はご存じだろうか。

 

英語の頭文字から出来たこの言葉、もとはニュースの文章の構成の見本と言われている。

 

When いつ

Where どこで

Who 誰が

What 何を

Why なぜ

How どのように

 

この6つの要素をまとめて5W1Hと呼ぶ。

 

サッカーを観戦するとき、この要素を考えながら見ることで自分の上達に繋げることが出来ると筆者は考えている。

 

 

具体的な例

 

 

ではどのようにこの要素を使って観戦するのか。

例を挙げて説明していこう。

 

 

先日寄稿させて頂いた、

 

 

こちらの記事の動画をサンプルとして使用する。

この記事で解説している動きを、5W1Hに当てはめてみよう。

 

その動画がこちらだ。

 

 

 

このシーンでは松尾を中心に追ってみよう。

 

 

 

とサラッと書いたが、この誰を追うか、というのがWhoにあたる部分だ。

この選定は様々な基準で出来る。

同じシーンでも違う選手をWhoに充てることで、別の面からプレーを分析することが出来る。

 

ここではまず、松尾をWhoに設定する。

 

 

次にWhen、「いつ」という部分だ。

 

ここでは試合時間ではなく、プレーの中で考えよう。

今回の動画で言えば、

・いつ首を振って周囲を見たのか
・いつ走り出したのか

などである。

それぞれのプレーをどのタイミングで行ったのか、という点に注目しよう。

そのタイミングには必ず意味や原因があるはずだ。

 

このシーンではパスが自分の頭上を越えると分かった瞬間に首を振って確認している。

そしてワンタッチで受けられるタイミングで走り出している。

この「いつ」が正しく出来ているから、このプレーはゴールへと繋がったのだ。

 

 

そして次、What「何を」である。

 

このWhatが実は少し曲者だ。

というのも、どの動作でも題材にすることが出来る。

これを決めずに例を書いたため、

・いつ首を振って周囲を見たのか
・いつ走り出したのか

というように二つの動作が出てきた。

だがこれを絞りすぎてしまうと、

「首を振って確認→走り出す」

というプレーの流れを見失ってしまう。

 

なので設定するときにはプレーの一連を切り取るイメージが一番良いだろう。

今回で言えば、「3人目の動きで入っていく」という所。

その後のシュートまでは考えずにフリーランを切り取って考えるわけだ。

 

そしてそのプレーを成功させるために何をしたのか。

首を振ったのか、ポジションを変えたのか。

切り取ったプレーの中の、更に細かい具体的な動作を見ていくこともWhatの意味合いに含まれる。

今回で言えば、「3人目の動き」として切り取った。

その中で、

首を振って味方、DFの位置を把握した

という動作を発見できる。これも何を、というWhatに含まれるわけだ。

 

 

どんなプレーを分析するのか、というWhat。

そのプレーを細かく分けるとどんなことをしているのか、というWhat。

 

この二つを行き来することで、よりプレーを深掘りすることが出来るだろう。

 

 

 

では次へ行こう。

今度はWhere、「どこで」だ。

この場所にもいくつか捉え方がある。

ピッチ全体からどの場所か、と考えることも出来る。

自陣なのか、敵陣なのか、中央なのか、サイドなのか。

 

だが筆者としては、

「周囲の味方、相手との位置関係」

というところに是非着目して欲しいと思う。

 

攻撃であれば、

・DFとはどれぐらいの距離なのか
・味方はどの距離、どの角度にいるのか
・ボールホルダーはどこにいるのか

 

ということを考えていく。

松尾の場合は松尾にパスを出した斉藤、斉藤へパスを出した志知、そしてそれらに対応しようとするDFとの位置関係だ。

この位置関係に着目することで、

「松尾が3人目の動きを決断した理由」

「松尾がなぜ右に走る判断をしたのか」

という点が見えてくる。

 

この時、どんな手段で、あるいはどのようなやり方、判断でプレーを遂行したかが見つかってくる。

「松尾は右への動き出しを選択した」

という部分だ。

 

これがHow、「どのように」である。

 

一般的に選手が試合を見て参考にする部分の多くは、このHowだと思う。

どうやってシュートを打っているのか、足のどこでトラップしているのか。

技術に直結する部分だからこそ見る人が多い。

 

今回のようなボールが無いシーンで言えば、

「松尾の走るコース、スピード、体の向き」

などがこの項目に当たる。

 

しかしHowにこだわってしまっては技術は向上しても選手として上に行くことは難しい。

選手の上手い下手を決めるポイント。

 

それこそがWhy、「なぜ」である。

 

なぜ、というのは判断の基準や過程だ。

プロがプロたる所以の一つは間違いなく判断力にある。

その判断力はどこから生み出されているのか、どこから情報を得てそのプレーを選択したのか。

 

その一つ一つを解き明かすためにこのWhyを考えなくてはならない。

 

簡単に言えば、

「なんでサイドチェンジしなかったんだろう」

というシーンがあったときに

 

・逆サイドはフリーでは無く数的不利だった
・インターセプトを狙っている選手に気付いた
・同サイドの方が崩せる状況だった

 

などなど理由として考えられるものは沢山ある。

それに気付ければ、自分がプレーするときにも同じように

「このシーンはサイドチェンジするべきだろうか?」

と考えることが出来るようになる。

 

この「疑似追体験」こそが上達には欠かせない

 

 

疑似追体験のための5W1H

 

 

ここまで一つのプレーをしっかり状況を考え、選手が何をして、何を考えたのか掘り下げる作業をする意味。

それは「選手の脳内を覗く」感覚だと筆者は思う。

 

筆者はJリーグのチームと練習試合を何度か行ったし、プロになるような選手とトレーニングもした。

そこで感じた差は技術だけでは無く

「何をどうしたらあの早さで判断できるのか」

「どうすればこれだけ広い視野で周りを見れるのか」

という脳内に関する差だった。

 

これを埋めるためにどうすれば良いか悩んだ筆者は、

選手がいつ、何を見て、何を考えてどう行動に移すのか分かれば良い

という結論に達した。

 

「判断が凄い」で終わらせるのでは無く、

 

どうすればその判断が出来るようになるのか

その過程・プロセスを知れば良いのでは無いか

 

と思いついたわけだ。

そして分析に適していたのが、この5W1Hだった。

 

実際に選手が行っている動作を一つ一つ細かくこの項目に当てはめながら見ると、学ぶことが多い。

首を振るタイミング、体の向き、味方との距離・・・

様々な情報を一瞬で処理するプロ選手の凄さを知れるとともに、間違いなく自分のプレーに活かせるはずだ。

 

 

順番は気にしなくて良い

 

 

この5W1H、ニュースの文面で用いられるときには順番が大切になってくる。

だがサッカーの観戦時には気にしなくて良いと筆者は考えている。

 

先にも述べたように、関係する項目が沢山有るため順番に抜き出すことが出来ない。

むしろ何回もそれぞれの項目を往復しながら選手の思考プロセスを解き明かしていくような手順になるだろう。

そしてその中心に常にいるのがWhy、「なぜ」である。

 

 

一番重要なのは「Why」だ

 

 

どの選手がプレーしたのか(Who)

どんなプレーをしたのか(What)を除外すれば、

 

なんであの方向に走ったのか?
→WhyからHowへ

なんであのタイミングで走ったのか?
→WhyからWhenへ

なんでここへ走ったのか?
→WhyからWhereへ

なんの目的で走ったのか?
→WhyからWhatへ

 

 

というように全てWhyを起点に学ぶことが出来る。

 

 

巻き戻しを活用せよ

 

 

これはいずれ改めて記事にするかも知れないが、この観戦法を行うときは巻き戻しが欠かせない。

気になるプレーを見つけたときや、自分が苦手なプレーが成功したとき。

 

「なんで上手くいったんだ?」

 

と思ったら即座に巻き戻ししよう。

そして一回毎に着目点を変えながら、何度も何度もそのシーンを繰り返し見ていく。

 

そうすることで、一回見るだけでは見つけられなかった理由や原因が見つかるはずだ。

 

 

実際に、筆者は先程の記事を書くために一連の動画を30回近く見返している。

体の向きだけで一回、パスの出し手の様子を見るのに2回・・・

というように、途方もない回数を繰り返して分析している。

 

この観戦法を行うと、90分の試合を見るのに倍近く掛かってしまうことがあるだろう。

だがそれは深く考えずに2試合見る180分よりも、遙かに成長に繋がる。

だから大変だと思うが、是非取り組んで欲しい。

 

プレーの結果には必ず理由がある。

それが分かればもっとサッカーは面白くなるのだ。

 

 

常に理由を探ることが上達に繋がる

 

 

サッカーは人間対人間で行うものだ。

上手くいったプレーにも失敗したプレーにもそれぞれ必ず理由がある。

 

その理由を説明できたら、理論上は正しい判断が出来るようになるはずだ。

それを自分がプレーで表現出来るようになるかはトレーニングと才能次第だが、理屈を知り思考プロセスを学ぶことは絶対選手にとって貴重な成長の糧となる。

 

 

この記事を参考に、是非観戦ライフの質を高めて欲しい。

その時間で蓄積したものは、選手生活を助けてくれる。

 

 

 

 

 




 

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@山田有宇太

 

 

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