選手は仲間の11人全ての動きを見なくても良い。ユニットで連動すればチームが機能する理由とは。
サッカーは基本的に、11人を1チームとしてプレーする。
だから11人全員の配置を見れるようにしないと良い判断やポジショニングが出来ない、かつて筆者はそう思っていた。だが実際に11人、相手も含めれば22人の配置を常に把握するというのは一握りの天才を除いて不可能だ。そしてそんな労力を払わなくてもチームとして機能することが出来ると言うことを筆者は学んだ。
今回のテーマはより守備において顕著であるため、守備を主に題材として解説していきたいと思う。
チームとはグループの集合である、という筆者の持論をご覧頂きたい。
まずは結論とその理由
まずは結論、筆者の主張から。
前書きにも書いたが、筆者は11人全てを把握しなくてもチームとして連動が出来ると考えている。理由は
①選手はユニット単位で動くことでポジションが決まる
②選手は複数の括りが違うユニットに所属する
と考えているからだ。
この二点を説明することで、その理屈を理解して貰うことがこの記事の目的となる。
この考え方を理解してもらうために、まずは「ユニット」という概念を説明していきたい
筆者の考える「ユニット」とは
これはもしかしたら筆者独自の造語かもしれない。「グループ」と置き換えても良いと思うので、分かりにくい場合はそのように読んで欲しい。
筆者の考えるユニットは、2~4人で形成される。
一番わかりやすい例が4バックの4人だ。
左サイドバックがプレスのために前に出たら全員がスライドして寄せていく、という動きは基礎的なものである。
これを4人のユニットとして見なすわけだ。このユニットがしっかり連動できれば、結果的にチームとして全体が連動できる、というのが筆者の主張である。なぜそう考えるか、それは先程も書いた
「選手は複数の括りが違うユニットに所属する」
ということに気付いたからだ。
一人が分類されるユニットは一つではない
選手が分類されるユニットは複数ある、と筆者は考えている。
ここに、4-4-2のチームを例にユニットをくくってみよう。
簡単に分類するだけでもこれだけある。横のライン、縦の二人組、中央の四人・・・と様々なくくりが出来る。実戦で意識するべきはこのユニットなのだ。
左サイドバックであれば、横のラインと縦の二人。サイドハーフのプレッシングに合わせて連動し、それと共にバックラインを気にしながら動く。見るのは自分含めても6人だ。十分に情報を圧縮することが出来る。
更に細かい話をすれば、横の誰かと連動する、ということを意識するだけでも全員が繋がることが出来る。
4バックの全員が隣との距離感を気にすれば、結果的に4人全員が連動できる。それを大枠で考えればこのようなユニットで捉えることが出来るわけだ。
なぜそれが出来るのか、というのは図を見れば分かるかもしれない。
全員がどれかのユニットに属する
誰もがどこかしらのユニットに属する以上、孤立するフィールドプレイヤーは一人とていない。例外をあげるのであれば守備時にカウンターに備えて前線に残る選手程度だ。だとしても残りの9人は全てどれかのユニットに属している。
全員がユニットの一員であれば、一人が動いたらそのユニットは連動する。それによって最初はユニット外の選手のみの動きであったとしても連動は別のユニットへと伝播するのだ。
左サイドハーフがプレスに出るシーン。
左サイドバックは縦の連動で押し出す。
左サイドバックが出ればバックラインはスライドする。
サイドハーフも出ているのだから同様にMFのラインもスライドする。
右サイドハーフは横のスライドと縦のユニットの関係で斜めに埋めるように動く。
というように、一人の動きはユニットに影響を与えその影響は波紋のように広がっていく。
これを利用することで、全員を把握せずともチーム11人、あるいはフィールドプレイヤーの10人が連動することが出来る。
更にこの連動にはあるメリットがある。
ボールに遠い選手が合わせる
この方式、高校で教わったのだがメリットはボールに近い選手に情報量が要求されないところだ。
ボールに近い選手はどうしてもマクロの視野、狭いところでの戦いを強いられる。
遠い選手がユニット単位でボール近辺の動きに合わせることで、チーム全体がボール近辺をスイッチとして動くことが出来るのがメリットと言える。
もちろんレベルが上がれば上がるほど、必要な情報量も思考する量も増える。だが大前提として
「全員を見なくていい、自分のユニットに即した動きをしよう」
と知っていることは大切では無いかと筆者は思う。そのユニットの動きを習得するためにトレーニングがとても役に立つ。
トレーニングの多くは3人~6人のチームで行うことが多いだろう。4vs4であるとか、6vs5であるとか。そこで身に付く動きはユニット単位での動きと限りなく近い。
あとはそれをピッチで全員が意識すれば、11人全員の相互理解が無くても11人全員が一つの生き物として動くことが出来る。
選手が理解する意味
これをなぜ筆者は選手に伝えたいと思ったか。それはプレーに直結する気付きだったからだ。これを知っている人と知らない人には差が出る、だが知ってしまえばそれほど難しいものでは無い。
サッカーには思いのほか、このような気付くだけでプレーが変わるポイントが少なくないと思う。それは選手としての実体験から学んだものだ。
それを知らないまま過ごしてしまうのはきっともったいない。
あるいはこれを指導者が意識して指導できれば連動する楽しさ、チームプレーの快感を教えることが出来る。もっとサッカーを子供に
楽しんでもらえるかもしれない。
サポーターの方であれば、自分の応援するチームがどう連動しているのか、組織として試合を見るときに役立つはずだ。全体を見るのが難しい、チームの動きが分からない・・・という話はよく聴く。そんな時はまずユニット単位で観察してみると面白いだろう。バックラインはどんな動きをするのか。サイドの縦並びの選手は同調できているか。
このユニットで区切るという気付き一つでサッカーは大きく変わる、かもしれない。そしてその変化はきっと見る人もプレーする人も、もっと豊かなサッカー生活になるだろう。知っている人は当たり前だ、と思うようなことかもしれない。それでも筆者は伝えていきたいと思う。たった一人でもいい、これを通じて学ぶことで力になれるのなら喜んで笑いものになろうじゃないか。
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