福山シティのホームゲームを観戦してきたレポート
7月11日。
広島県一部リーグを見に行ってきた。
ここ最近なにかと話題の、
「福山シティフットボールクラブ」
のリーグ開幕戦、対戦相手は原田鋼業FC。
元々サッカーのスタイルに非常に興味があること、また筆者も元地域リーグ経験者であることから是非試合を見に行きたいと思っていたところ、開幕戦が近場で開催されるとの情報を得たため、観戦に行くことにした。
久々に触れたアマチュアリーグの空気、福山シティの目指すサッカー、フロントの方々の努力、いろんなものに刺激を受けたためここにレポートとして記したいと思う。
グッズ販売の支払がオンライン決済対応
まず筆者が驚いたのが、クラブグッズの販売ブースがオンライン決済に対応していたこと。
【祝】福山シティさん、グッズ販売にオンライン決済多数導入!【Jより便利かも】
私はタオマフを買いました。 pic.twitter.com/OkUmESbRv6
— 山田有宇太 (@Grappler_yamayu) July 11, 2021
スタッフさんにお話を伺ったところ、なんとこの試合で初お披露目だったそう。主要なクレジットカード、QR決済に全て対応しているのはJリーグでもそう見ることが出来ないだろうと思う。
「お、このグッズ良いな、でも手持ちの現金少ない・・・」という事態って結構多いと思う。グッズとの出会いは突然だし、魅力を感じた瞬間に買えるというのは重要なことなのかもしれない。
またグッズの種類に関しても、GKユニが置いてあったりキャップが普段使いしやすそうなデザインだったりとかなり好印象だった。
飲み物に関しては、ドリンクサプライヤーにキリンが付いているらしい。強い。
2021年広島県社会人リーグ1部
10:30よりグッズ販売開始します🙌
皆さんぜひお買い求めください⚽️🗓7月11日(日)
⏰12:15 KICK OFF
🆚 #原田鋼業フットボールクラブ
🏟東広島運動公園 #福山シティFC pic.twitter.com/94KGNfsZq3— 【公式】福山シティFC | FUKUYAMA CITY FC (@fukuyamacityFC) July 11, 2021
SNSで拡散しておきます!とスタッフさんとお話ししてたらツイート後すぐにスタッフからフォローされた。行動力高いな!!
横断幕が綺麗、ゲーフラも綺麗
アマチュアチームの規模を表すものの一つに、横断幕があると筆者は思っている。根拠はない、なんとなくだ。
福山シティの横断幕、そしてゲーフラは直接プリントされている写真入りの綺麗なものが多かった。こういう小さなアイテム一つ一つで選手のテンションや、初めて観戦に来た人へのインパクトは大きく変わってくる。そういった意味ではインパクトを強く感じた。もちろん各チームのサポーター毎に様々な特色があるため、綺麗だからいい、シンプルだから悪いというわけでは全くない。筆者が弘前で掲げてもらったフルネーム横断幕は、今でも宝物だ。
試合について
試合開始前、コールリーダーが挨拶をしていた。大きくてギラギラした蝶ネクタイを着けていた。可愛い。
このコールリーダーさん、試合後にも声をかけてくれたので強く印象に残っている。ファン拡大には地道な活動が欠かせないということを痛感する。
試合の内容に関して。
まずもって思ったのが、福山シティは丁寧にサッカーをするなという印象だった。
福山シティ、前から思ってたけどすごく丁寧なんだよな。ボール扱いとかパスの精度だけじゃなく、判断一つ一つが丁寧というか、思考が止まったプレーがほぼ無い。
— 山田有宇太 (@Grappler_yamayu) July 11, 2021
一つのパスを出すときにもしっかり相手を見て判断する。自分の都合優先でプレーをしない。
前を向けるときはしっかり向く。相手を引きつけるためのパスなのか前を向かせるためのパスなのかの共通理解がブレない。
裏が空いていればロングパスで狙うし、ボールを持たせるような守備をしてくればその間を利用して一気に仕掛ける。
サッカーのプレーには、日頃のトレーニングで培われる頭の使い方がもろに反映される。つまりは毎日頭をフル回転させ、相手を見て判断するトレーニングを積んでいるのではないかという推測が出来る。
またそう思う理由の一つとして、選手全員が同じ雰囲気を持っているという点がある。一人や二人頭が良い選手がいるだけでは個人で身につけた物の可能性も高いが、福山シティは全員が常に判断を下しながらプレーしていた。チーム全体に習慣が行き渡るのは充実したトレーニングが欠かせないものである。このチームを率いているのは小谷野監督。大学卒業と同時に福山シティの監督に就任して今年が二年目、まだ23歳。若いって良いなあ・・・
小谷野監督についての蛇足話
福山シティのサイトには、選手やスタッフそれぞれに「プレーヤーズストーリー」という項目がある。一人一人がどんな人生を歩んで福山シティに辿り着いたのかという人生の軌跡だ。
小谷野監督に関しては北陸大学で在学中から指導者をしていたということしか知らず、つい先程初めて来歴を見た。
・小学校時代、県トレセン
・中学時代、総体全国出場
・高校は鹿島学園、しっかり試合に絡む
・北陸大学へは指導者の勉強のため行こうとするも、選手ならトップチームで出来ると声をかけられる。
うーーん、ばけもの!!筆者からしたら天才だ。頭が良い人ほどさっさとプロを諦めることが出来るのかも知れない。諦めることすら出来なかった自分の頭の悪さ、才能の無さに嫌気がさすね!
参考程度に同じように筆者の来歴を辿れば
・小学校時代、市トレに落ちる
・中学時代、市の大会一回戦負け。
・八千代高校では一度もAチームに入れず太鼓を叩く。
・専門でも万年二軍、なのにサッカーを続けてしまう。
これはひどい。
一つだけ、要求したいこと
そんな福山シティは県リーグを通過点とし、地域リーグに挑むことになるだろう。だからこそ一つだけ、もっとこうして欲しいと思ってしまう点があった。
それは大差が開いたあとの試合運びだ。というか試合の濃さ。
往々にしてこういったチームは実力にふさわしいリーグに昇格するまで、大差の試合を繰り返すこととなる。かつてのいわきFCもそうであった。
そういったときに、強いチームはいくらリードしても決してテンポを落とさない。
例えば5-0の後半40分にカウンターのチャンスを迎えたとき。どう考えても試合の勝敗は覆らないし、無理にカウンターをせずにボールを落ち着かせたところで決して悪いプレーではない。体力を考えても賢明だろう。
だが強いチームというのは、こういったときにとんでもない気迫でカウンターを仕掛けてくるものだと筆者は多く体験してきた。手を抜かないとかやりきるとか、そんなヌルい表現では足りない。強いチームは喰らい尽くしに全てのプレーで牙を剥いてくる。その凶暴生徒すら言える強さを身に付けたチームは、間違いなく応援されるし伸びる。これは理屈ではないかもしれない、だが筆者が味わってきたからこそ伝えたいことでもある。
捕食者としての野生を身に付けたとき、福山シティはより強者になるだろう。だからこそそういった試合を次は期待したい。
試合後
試合後、選手がスタンドまで来てグータッチをしてくれた。
選手は薄いビニール手袋をして感染対策をし、疲れていてもファンと交流する様は非常に心温まるものだった。これ、選手目線でも個人的には好きだったなと思い出す。筆者がいたチームでは、観客の退場見送りを選手がするというスタイルだった。親密なファンサービスというのはアマチュアだからこそ見れる少し特別な光景かも知れない。
そんなスタンドを尻目に、小谷野監督はコーチ陣と共にベンチに使用していたテントの撤収作業を行っていた。裏方の仕事を率先して手伝う監督、凄い。
選手やコーチも試合の設営を手伝うというのは、アマチュアリーグではよくある話なのだ。
ボランティアスタッフに若い男性が多いと思ったら、みんなユニフォームに着替えてピッチに出てきた。それがアマチュアリーグ。
だがそれを監督が率先して行うというのはかなり珍しい気がする。
感想
観客に対するホスピタリティをどう上げるか凄く模索しているんだなと言うのが一番の感想。
試合の内容というかプレーに関してはいくつか試合を見ていたのでそこまで驚きはない、そのうち練習見学に行けたらなと思っている。
このチームについて書くに当たって小谷野監督の話は外せないなと思ってはいたが、いざ冷静に見てみるとこんな能力を持った人でもプロを諦める世界なんだなと思った。せっかく才能があるのにもったいないというか、才能があるからこそ自分を見切ることが出来たのか。出来心で筆者と比べてみたが、いかに自分がダメ人間か改めて認識させられてちょっと凹んでいる。
小谷野監督にきた怪我が俺に来てればサッカー界の損失は少なくて済んだんじゃないかな、なんて思ったり。
凄い人を見る度に死にたくなるけど、僕は僕で楽しく生きていこうと思います。
なんて与太話はさておき、アマチュアリーグにもかかわらず会場近くで練習していたサッカー少年達がこぞって試合を見に来ていたのはびっくりした。
しかも本拠地福山から離れた場所での試合にもかかわらず、である。もしかしたら想像以上に福山シティは広島に浸透してきているのかも知れない。
もっとアマチュアリーグを観戦する文化が日本に広まったら良いな、そんなことを思った。それぞれのリーグにはそれぞれの物語があって、選手の数だけ戦う理由があったりする。プロ以外を一度でもいいから観戦する、というのは知見や感性を大きく広げてくれるのでは無いかと筆者は思う。
筆者もあれだけ才能が無かったのにまた現役やりたいな、と思ってしまった。福山シティの情熱のせいだ。
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