中高生がサッカーの自主トレをするとき、何を考えるべきか
サッカーの部活動に欠かせないもの、それは自主トレだ。
一般的に、サッカーの練習で集中力が保てるのは90~120分と言われている。
部活動の時間もちょうど、2時間程度のところが多いのではないだろうか。
もちろん下校時間等はあるが、チームトレーニング後の自主トレ、あるいは自宅に帰ってからのトレーニングは成長のために欠かせない。
本稿ではなぜ自主トレが上達に欠かせないか、そしてどういった考えで自主トレをするか。
自主トレに明け暮れ、それでも選手として大成しなかった筆者が、どうすれば良かったのかを考察していく。
成功者の意見とは一味違う、敗者の意見が参考になれば幸いだ。
なぜ自主トレをするのか
まずはここから。
なぜ、チームの練習では足りないのか。
そこにはサッカーという競技の特性が関係している。
①ボールを触る時間が短い
中高生には縁がないが、大学生以上の試合は前後半90分の計90分で行われている。
しかしその中で、一人がボールを持つ時間はわずか1~2分しかないのだ。
割合で言えば、2%ぐらいの時間しかボールを持たない。
更に試合時間が短くなる、中高生の年代であれば余計にボールに関わる時間は減ることとなる。
トレーニングでは11人でプレーはしないため、もう少し時間は多いはずだがそれでもゲーム形式では短い時間しかボールに触ることができない。
だが、選手としての評価はボールを持った時の技術が大事になる。
滅多にボールを持てないのに、持った時の技術が大事なスポーツ。
それがサッカーの特性であり、トレーニングの難しさでもある。
だからこそ、普段のトレーニングとは別に、技術を磨く時間が必要なのだ。
②チャレンジする回数が足りない
先ほど、プレーの中でボールを持つ時間が少ないと書いた。
これ、想像以上に上達に対して深刻な問題なのだ。
例えば、
「スピードに乗ったドリブルが苦手」
という欠点が自分にあったとしよう。
具体的には、スピードを上げてドリブルするとタッチが大きくなってしまう、結果ボールを奪われてしまう。
そんな選手だった場合。
これをトレーニングの中で直すには、スピードに乗ったドリブルをDFに対して仕掛けるということになる。
出来ないプレーに何度も挑戦するのは、誰でも思いつくことだ。
しかし、実際トレーニングの中でそんな状況が何回来るだろうか。
たまたまその日のチームでのメニューが1vs1多め、とかなら挑戦できるかもしれないが、そううまくいくことはない。
2時間のトレーニングでも良くて10回がいいところだろう。これでもかなり多い方だと思う。
一日に10回こなすだけでは、相当な才能が無いと解決できない。
ごく一部の天才を除き、試行回数が圧倒的に足りなくなってしまうのである。
そして人それぞれ、身に着けたいプレーや欠点は違う。
自分が身に着けたいプレーを試す場面が一回もないまま一日が終わる、ということはよくある。
つまり、チームトレーニングや試合では
・まずボールを持つことが少ない
・苦手なシチュエーションに滅多に出会わない
・だから、トレーニングだけでは課題を克服するのが難しい
という状況になっているのだ。
だからこそ、自分で時間を作って自分の課題に取り組まなくてはいけない。
自主トレの欠点とは?
以上のように、選手として成長するうえで自主トレは欠かせないものである。
しかし、欠点も存在する。
それが、
「実戦的な練習が難しい」
という点だ。
実戦的な練習と切り取った練習の差
普段のトレーニングは、11vs11のどこか一部分を切り取った練習である。
鳥かごもシュート練習も、5vs5のゲームも、すべて考え方は同じだ。
つまり実戦的かどうかで言えば、
実際の試合
↓
ミニゲーム
↓
普段の対人トレーニング
↓
技術トレーニング(チーム)
↓
自主トレ(個人)
という順番になっていく。
そして反復できる回数が、その逆だ。
ということは、自主トレに実戦的な要素を取り入れることが出来れば。
回数を確保しながら、実戦的なトレーニングが可能になるわけだ。
その点を考慮し、どのようにメニューを考えていくか、このページでアドバイスできればと思う。
実戦的なメニューを組むために
では、どうやってメニューを組んでいくのか。
大きなポイントは二つあると考えている。
①目的をはっきりさせる
まず一つ目は、どれだけ目的がはっきりしているか、という点になる。
よくある自主トレとして、
「おーい○○、ちょっとパスしようぜ」
という展開から対面パス、なんていうのはよくあると思う。
これ、個人的には全くお勧めできない。
自主トレをするのには、必ず理由があるはずだ。
どんなプレーが上手くなりたいのか、そこからメニューを作らなくてはならない。
サッカーに限らずどこでも起こりうることだが、
「手段の目的化」
ということは絶対に避けなくてはならない。
上手くなるために、自主トレをする。
その順番は守らなくてはならない。
これが守られていないと、
「とりあえず時間あるし自主トレするかー。
なにしよっかな、パスでいいかな」
という、目的を見失った状態になってしまう。
というよりも、自主トレ自体が目的になってしまっているため、メニューや上達したかどうかが大事ではなくなってしまっているのだ。
これは筆者の中高時代の苦い経験であり、思い出すだけで吐き気がしてくる。
そんな思い、そして無駄な時間の浪費は、読者の皆様には絶対にしてほしくない。
どんなプレーが上手くなりたいか、それがきちんと考えられていれば、自然と取り組みたい自主トレも浮かび上がるはずだ。
②出来ていないことを、具体的に
ではシュート練習を例に考えてみよう。
よく見る光景としては、
パス→落とし→シュート
という、いわゆるポストシュート形式の練習。
しかし現実的に、試合中にこんなシーン来たことあるだろうか?
もちろん、
・ミートする感覚を養う
・カーブシュートを基礎から練習する
・逆足のシュートが全く蹴れない
など、難易度の低いところから始めるべき理由もある。
それも含めて、
「今自分が出来ないこと」
に具体的に取り組んでいくことが大切だ。
シュート練習で考えるならば、
・強い横パスをダイレクトで無理やりシュート
・トップスピードのまま、スピードを落とさずシュート
・切り返し後、一歩のみの助走から素早くシュート
というように、打つこと自体が難しいシチュエーションを思い浮かべる。
あるいは、実際に試合やトレーニングで経験して上手くできなかったシーンを思い出す。
そして、それを再現できる自主トレを考えていけばいい。
それが、実戦的であり、試合で使える自主トレだ。
終わりに
筆者はこの自主トレの質を高めることが出来ず、ただただ長い時間トレーニングするだけになってしまった。
その結果、全く選手として大成することが出来なかった。
この記事をきっかけに、皆様の自主トレの質が上がることがあれば幸いだ。
欠点を見つけ、あるいは長所を自覚し。
それを自主トレで改善、強化することでプレーが変化する。
その自分の成長は、サッカーの一番の楽しみではないだろうか。
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