「ICON パスマシーン」の体験から考える、試合に求められるパス&コントロールの練習とかの話

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先日、エディオンスタジアムにJリーグを観に行った。

 

その際、こんなものが展示されていた。

 

 

名を

「ICON パスマシーン」

というようで。

円状に配置された壁はパネルになっており、ライトが付いている。

そのライトを利用して、パス&コントロールに視野の確保や情報収集を加えた実戦的なトレーニングが一人で出来る、という優れもののようだ。

 

実際にトレーニングしている動画がこちら。

 

 

 

そして、筆者も体験してきた。

 

 

この93点の20代男性が私である。

ということで、今回はこのパスマシーンを体験して思ったあれこれを色々書いてみたい。

 

簡単な概要

 

正式には「ICON」という機械らしい。

イギリスのElite Skills Arena Ltd.が開発。日本では2018年にヴィッセル神戸が導入したとニュースで報じられたようだ。

また、川崎フロンターレはホームゲーム全試合でこのマシンをアトラクションとして設置している。500円ほどでプレイ出来て、点数に応じた景品がもらえるとのこと。

チームとしてトレーニングに利用しているかまでは不明だった。

バルセロナでも導入、という触れ込みで宣伝されていることが多い。

 

 

パスマシーンの他の例

 

パスマシーンと聞いて筆者が真っ先に思い浮かべたのは

「フットボナウト」という設備だった。

先程のマシーンを部屋全体で構成したような大がかりな施設だ。

こちらの動画の2分30秒あたりから見ることが出来る。

 

 

ホッフェンハイム、ドルトムントなどで利用されている。

1億円強ほどの費用がかかるほどの設備だ。おいそれと手軽に手が出る値段ではない。

これをよりコンパクトにしたものと考えてもいいかもしれない。

 

 

やってみた感想

 

実際に自分がやってみた感想を。

 

「首を振る」という行為の正しい習得

 

まず一番思ったのはこの部分。

筆者はこの「首を振って周りを見る」という行為がとても苦手だった。

意識して練習をひたすらやっていたが、身に付いたのは

「首を振る」という見かけの動作だけで、「周りを見て情報収集する」という肝心の中身が伴わない物となっていた。

首を振っているが何も見えていない、という状態だったわけだ。

 

だがこのパスマシーンでは、否が応でも見ることを要求される。

ボールが移動している間に見る癖が付く、しかもただの動作では無く「情報収集」という中身が要求されるため、スコアを上げようと思ったら自然と周りを見るようになる。

 

このときに大事なのが、

「首を振らなきゃ」と思って周りを見るのでは無く

「付いてるランプを見なきゃ」と見ることが目的になること。

かつ、DFが居ないためプレッシャーの無い状態から習慣化を目指すことが出来る。

 

止める蹴るの正確性も追求できる

 

スコアを上げるには、

①早いパスを当て続ける
②止めてから蹴るまでを早くする

という物が求められる。スコアを上げようとすれば必然的に技術を磨くことになるのだ。

実際、先に挙げたWEリーグの選手と筆者の動画を比較すると、一つ一つの動作に大きな差があることが分かる。

 

 

もっと言えば、そもそもの立つ姿勢からなにから違いがあったりするのだが、そういった動作の改善にも役立つと思う。

 

 

スコア形式にすることのメリット

 

で、筆者が思ったのは

「技術をスコアで競うこと」

という点。これが考えてみると結構面白い。

 

人との差を可視化できる

 

あいつは俺より上手い、という選手がいる場合、気になるのはどれぐらいの差があるかと言うことだ。

サッカーの選手としてどれだけ差があるかというのは数値化出来ない。判断が伴うためである。

だが、技術単体で切り取ればこのように数値化することが出来る。そうすれば、少なくとも技術においてはこれだけの差がある、と把握することが出来る。

実際筆者はこれを試してみて、「やっぱプロってえぐいな」と改めて思わされた。

技術の追求は、長く地道な取り組みだ。その中に、数字の伸びという目に見える成長があれば、よりモチベーションを保つことが出来るだろう。

 

点数を追求すると勝手に上手くなる

 

筆者は多量の自主トレを行ってきたが、それが実らなかった。質が低かったのである。

より自分に高い要求をするべきだったとか、首を振る動作だけ追求しても意味が無いとか。

 

その点において、この装置は優秀だなあと思う。

実は筆者、この装置を3回試技させていただいた。

その中で、明らかに首を振る回数、パススピード、止めてから蹴るまでのスピードが変わっていった。

より高い点数が取りたかったからである。

これがただの自主トレであれば、

「もっと早いパスを出さなきゃ上手くなれない」

と自分を追い込む思考が必要になる。もちろんそれが出来れば一番良いのだが、簡単な話では無い。

だがこのようなアトラクション形式であれば、

「もっと高い点を取りたい!」

という楽しむ気持ちだけで、よりレベルの高いトレーニングにすることが出来る。

 

ただただ単語帳を眺めて暗記するのか、ゲーム形式のアプリで覚えるのかという差をイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれない。

単純作業、しかも質は自分次第という極めて難しい自主トレーニングを向上させるにはうってつけの仕組みだと思う。

 

かつもう一つの大きな効果は、自分の成長も数値で明確に実感できることだ。

これは本当に大きな励みになると思う。

なにしろサッカーの上達というのは基本的に実態のないものを追いかけ続ける作業だ、しかも競争相手も現在進行形でトレーニングを重ねている。

そんなタフな中で、過去の自分の数字という指標があれば、モチベーションの維持に多大なる効果があると筆者は思う。

ちなみに筋トレやランニングを趣味にする人が多いのも似た理由だと思う。明確に数字で努力が実感できるというのは快感なのだ。

 

ランダム性のある自主トレという凄さ

 

自主トレーニングにおいて最も難しいのが、「判断や情報収集を伴った動作」だと思う。

動作を繰り返す中にランダム性をもたらし、その変化に応じて動作を変えるというのはとても困難だ。

 

360°、どこのランプが付くのか分からない。そのランダム性によって

・どこを見れば良いのか
・どの体の向きで迎えるのか
・どっちの足でトラップしてパスするのか、ワンタッチで出来るのか

という点を全てその場で決めなければならない。

特にどこを見れば良いのか分からないというのが個人的に魅力だった。

どれが付くか分からないから、とにかく見れるだけ見るしか無い。で、見付けたら瞬時に体の向きを作りながらトラップ、そしてなるべくスムーズに、強いパスを正確に出す。

この一連の動作を要求されるのは本当に凄い。

どこを見れば良いか分からない自主トレで全部見れるようになれば、どこからプレスが来るか予測可能なゲームの方が簡単に思えるだろう。

 

自主トレの難しさを改めて知る

 

このような優れた装置を使ってみて改めて知る、自主トレの難しさ。

今の自分には何が欠けているのか、何をトレーニングするのか、どういった手法でトレーニングするのか。

ただ動作をなぞるだけになってないか、自分に甘くなってないか、現状維持にしかならないトレーニングでは無いのか。

これら、全て現役時代に筆者が出来ていなかったことである。

 

それに対して、ランダム性を与えることで判断や認知、情報収集能力を鍛え。

スコアを出すことでより上を追求することが出来、しかも成長を実感できる。

 

正直に言えば、この装置は夢のような装置だと思った。本気で。

小さい頃からこういったトレーニングが出来たらもうちょっと良い選手になれたかなと思う。

 

ということで、体験できるは是非してみて欲しい。

調べたら色んなところで展示や体験が出来るようである。また川崎フロンターレの試合観戦に行ける人は是非チャレンジしてみて欲しい。

 

しかし750万円かあ・・・まだまだ買えないな。




 

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@山田有宇太

 

 

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