それでも、ドリブラーを目指しますか?②ドリブルは3種類に分けられる
※この記事はシリーズとなっていますが、単体でも参考になる物を目指しています。
①はこちらからどうぞ。
前回は、ドリブラーを目指す上でリスクとなること、必要な才能、そしてドリブラーを取り巻く昨今の状況を書いた。
今回は、選手にとって必要となるドリブルに対する考え方を述べていく。
この記事を読むことで、正しく上達するための考え方、取り組み方が身につけば幸いである。
ドリブルには3種類ある
前回はドリブラーについて述べた。
ドリブラーにはスピードが必要だとも書いた。
しかし、スピードが無くともドリブルの上手い選手というのは数多く居る。
ハイプレスをドリブルで掻い潜るドリブルは、試合でよく見かけるだろう。
エジル、シャビ、ダビドシルバ、などなど。
スピードが無い中盤の選手にこのタイプが多い。
しかし彼らをドリブラーと呼ぶ人は少ない。
※中村俊輔など例外的にドリブラーとして活躍していた選手もいるが、ここでは扱わないこととする。
そもそもドリブルにはいくつか種類がある、と私は考えている。
目的によって3種類に分類した。
ドリブラーと、先程名前を挙げた中盤の名手の違いも、このドリブルの種類によって説明することが出来る。
それでは、順に見ていこう。
①抜き去るドリブル
前回の記事で取り上げたのは主にこの部分だ。
このドリブルには、身体的才能、技術的才能の両方か、全国レベルのどちらか片方が必要となる。
実際の試合で見られる象徴的な場面は、タッチライン際での1vs1だ。
このドリブルの特徴は、攻撃側が主権を握ることだ。
自分から仕掛け、待ち構えるDFを抜き去る。
あるいは抜ききらずにクロスやカットインシュートへ持ち込む。
この時に注意したいのは、DFを抜くのは目的では無く、手段だということ。
ドリブルによってシュートやクロスのチャンスを作る。
あるいはペナルティエリアへの侵入を試みる。
サッカーという競技は、ゴールを奪うことが目的だ。
そのために「シュートを打つ」「クロスを上げる」などの手段や段階があり、そのチャンスを作るためにドリブルを仕掛けるのだ。
ドリブルで半歩ずらしてシュートが打てる、という状況でシュートを打つのか。
完璧にDFを抜き去るために仕掛けるのか。
見栄えが良いのは後者かもしれないが、選手として機能するのは前者だ。
そこを履き違えずに、適切に仕掛けることが出来、突破力のある選手は貴重な存在となるだろう。
②かわすドリブル
こちらは、そもそも目的の違うドリブルだ。
このドリブルの目的は
「ボールを奪われないこと」
つまり、自分からドリブルを選択するのでは無く、プレスを受けた時の回避として咄嗟に出す技術である。
この時点で、目的だけでは無く機能としても別物であることが分かると思う。
このドリブルは、出来ればほぼ全ての選手が身に付けて欲しい。
プレスへの耐性、奪われない力は派手なドリブルより余程自分を助けてくれる技術だ。
具体的には、こういったドリブルが該当する。
少し古い動画で申し訳ないが、この選手はプレスへの耐性が当時世界トップクラスだった選手だ。
体格もスピードも決して恵まれてるとは言えないレベルだが、だからこそあらゆる選手にとって参考となるプレーだと思う。
このように、奪いに来るDFをかわす、いなすドリブルは今や必修科目となっている。
③前進するドリブル
最後は、少し違った切り口のドリブルだ。
目の前にスペースがあるとき、そこへ運び出すドリブル。
ただそれだけだ。
必要な技術はほとんどない。
動作だけであれば、小学生でも出来るかもしれない。
しかし、Jリーグでこのドリブルを適切に使用できている選手は、実はそれほど多くない。
このドリブルに必要なのは、戦術眼と予測能力だ。
今はボールを運び出すべきなのか。
運び出した時にどのDFがプレスに来るのか。
その結果、どの味方がフリーになるのか。
未来を予測し、敵の守備を崩すために運び出す。
ボールを前進させ、攻撃の起点を押し上げる。
こういった戦術的な要素が強いプレーというのは、ハイライトやプレー集では見ることが出来ない。
だからこそ試合を観戦し、学ぶ必要があるのだ。
身につけるべきは「かわすドリブル」
さて、ここまででドリブルを3種類に分類した。
そして1番目は才能による部分が大きいこと、3番目は戦術的要素がほとんどであることを説明した。
そうなった時に凡才は何をするべきか。
2番目、かわすドリブルを身につけるべきである。
これは選手時代に私が一番感じたことだ。
ボールを失うのは、サッカーにおいて悪だ。
失わない力は、あらゆるポジション、あらゆるチームにおいて必要とされる基礎力となる。
1vs1で抜けなくても良い、プレスをかわす力を身につけていくべきなのだ。
かわすドリブルが身につけば、積極的にチャレンジするプレーが選択できる。
「狭いスペースで前を向く」というのは中盤の選手に必須の技術となったが、前を向いた直後は当然強いプレッシャーを受けることとなる。
その時にかわすドリブルが身についていれば、プレスを掻い潜りチャンスに繋げることが出来る。
あるいはトラップミスをしたとき、ここぞとばかりにボールを奪いに来るDFを捌ければ、ミスをリカバリーすることが出来る。
身の回りに、「よくボールを失う選手」は居ないだろうか。
その選手の評価は決して高くないはずである。
ボールを失うことは、それだけで存在価値に影響してしまう。
前回の記事でかつてドリブラーが特別扱いされていた、というのも結局の所失わない力があったからである。
チャンスを逃したとしても、ボールを失わなければピンチは招かない。
最後に上げたい理由として、成長の過程に関連することがある。
奪われない選手は伸びる
よく言われる言葉に「失敗から学ぶ」というものがある。
しかし決してそれだけでは成長することは出来ない。
上手くいった経験をすることで、選手は自信を深めていく。
DFのプレスをかわす経験があればあるほど、精神的なプレス耐性もあがり、するべきプレーをすることが出来る。
私は現役時代、「前を向くべき時に前を向く」という中盤の選手として必須のプレーが習得できなかった。
理由は自分でも分かっている、恐怖心が拭えなかったのだ。
ボールを失うことで特に高校時代に怒られ続けた。
今思えば指導者の問題もあるが、それ以降リスクを負うプレーが極端に怖くなってしまった。
結局引退までその欠点は克服できなかった。
選択肢として正しいプレーを遂行するためには、自分への自信が必要不可欠なのだ。
そして自信のある選手、強気な選手の方が成長速度が上がりやすい。
これに関しては今後記事としてしっかり解説したいが、簡単に説明すれば
・自信があるから積極的にチャレンジをし
・成功体験が増えることでコツをつかみ、実戦に強くなる
というプロセスは確かに存在すると私は経験上確信している。
以上のことから、プレーで役立つと共に選手としての成長にも恩恵が大きいと考えている。
実際の試合で力を発揮するために。
あるいは評価されランクアップしていくために。
なにより、選手として成長していくために。
この奪われない能力は必須と言えるのだ。
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