質問箱に応える「本職じゃないポジションでプレーするとき、何を意識すれば良いのか?」

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先日、質問箱に届いた質問がある。

 

最近、セレクションを経て社会人チームに加入しました。
セレクションの時にはFWのポジションでプレーし、入団オファーを勝ち取ることが出来たのですが、いざ加入してみると、サイドハーフでしか起用されません。
監督には希望のポジションも伝えていますが、現在FWでプレーしている選手も良いプレーをしているため、使ってくれる気配がありません。
しかし、私も本職のFWでなら結果を残せる自信があるため、もやもやします。

山田さんは現役時代最も得意なポジション以外でプレーする時はどのような意識で臨んでいましたか?

 

今回はこちらの質問に対して、筆者なりの考えと経験をここに書いてみたいと思う。

 

筆者は公式の試合に出れることはほぼ無かったが、その分紅白戦やトレーニングマッチにおいて様々なポジションを経験してきた。

その時に考えていたことや、今振り返ってこうしておけば良かったという後悔などもお伝えできればと思う。

 

 

本職のポジションとは

 

まず、本職という言葉の捉え方から考えていきたいと思う。

 

筆者には高校時代に経験した、あるエピソードがある。

それは1年生チームの時に、練習合宿に行ったときのこと。グループに分かれて数人ごとに、顧問の先生と面談をする機会があった。

 

そこで筆者のグループは

「山田の長所はなんだと思う?山田以外が答えろ」

という質問をされた。

当時の自分は、中学校時代にトップ下をやっていたこともあり

「パスが長所だ」

と自分では思っていた。そして同級生もそう答えてくれた。

だが顧問は

「違う、山田の長所は守備だ。自分でも把握できていないと思うがボールを奪う能力だぞ。」

と筆者に告げた。

 

この出来事、筆者の中では相当に衝撃であった。

 

自分を選手として客観視する難しさ

 

単純に言ってしまえば、自分の強みをまったく理解できていなかったということになる。

しかし当時の自分を責める事は出来ない、とも思っている。

選手にはそれぞれ、好きなプレーというのが大まかにあると思う。筆者はパスが好きだったし、中学時代は得意だと思っていた。だがそれは弱小校の中だけであり、つまりは通用するような能力では無かったということ。

好きなプレーと得意なプレー、評価されているプレーは一致しないことがある、ということに気付けたのはサッカー人生において大きな変化だったと思う。

好きなプレーほどこだわるし、研究する。だがそれが必ずしも自分の長所とは限らないのだ。

 

主観的に自分のプレーを思い出すだけでは、自分の長所と短所の正確な把握は難しい。だからこそ指導者の目線からの指示やコーチングは、是非参考にするべきである。

 

なぜそのポジションを託されたのか?

 

では冒頭の質問に戻りたい。

本職のFWではなく、サイドハーフでの起用をされているという状況だ。

 

このときに選手として考えるべき事、それは

「なぜその役割で起用されるのか、何を期待されているのか」

ということだ。

おそらくだが、本職のサイドハーフがいないというチームでは無いと思う。本職の選手がいながら違うポジションで起用されるということは、その選手よりも求められる役割を果たせると期待されていると考えるべきだ。

監督があなたに見出したサイドハーフとしてのプレー、それを考えることがまずは大切だと思う。

 

上手い選手はどのポジションでも上手い

 

これは筆者が様々な選手とプレーし、あるいは見てきた中でずっと思っていたこと。

サッカーには確かに、「ポジション適性」というものがあると思う。ドリブルが上手ければサイドかFW、パスが上手ければ中盤やサイドバック、というように長所に応じて活きるポジションは存在する。

だが賢い、上手い選手というのはどのポジションを担当しても上手い。これはとても抽象的な言葉になってしまうが「本質的に上手い」と筆者は考えている。

相手のプレスの強度、プレーの優先順位、体の向きなどポジションに寄って変わる部分はあるが、共通する部分の方が多い。

しっかり相手の動きを見て、正確な技術を発揮し、正しい判断が出来る選手はどのポジションでも質の高いプレーが出来る。

ポジションによって変わる要素を賢さと技術で対応できるという能力の高さと言い換えてもいい。

サイドバックとボランチではボールを受けるときの体の向きも、守備の対応の仕方も全て変わってくる。だがしっかりとサッカーというゲームの構造を理解していれば、問題なく適応できる。

Bチームのサイドバックよりも、AチームのFWがサイドバックを担当した方が質が高い、なんてこともよくある話で。

その本質的、根本にあるサッカーの上手さを評価されて本職ではないポジションで起用されている可能性も十分にある。本職ではないポジションを任されるのは不本意な部分もあるかもしれない、だが同時に自信を持っても良いと思う。本職では無くてもやれるだろ、と評価されているのだ。

 

 

なぜそのポジションにこだわるか見つめ直す

 

 

この質問の中で、

「私も本職のFWでなら結果を残せる自信があるため、もやもやします」

という文がある。このもやもやについて、一度向き合ってみるといいのでは、と筆者は感じた。

 

筆者の経験

 

少しばかり身の上話。

筆者は高校時代、ボランチ・SB・CBをそれぞれおおよそ一年ずつプレーした。自分では中盤の選手だと思っていたが、中盤で考えてもらっていたのは1年だけだ。

それでも筆者は正直に言えばもやもやしたことがない。中盤ならもっとやれるのに・・・と思ったことがない、と言い換えてもいい。

やったことないポジションが故に、それを考える余裕もないほど必死だった。そのポジションで何が自分に出来るのか、どうすれば良いプレーに繋がるのか、必死に考え続けた。

それは二軍以下であり、自分の適性や要望を言えるような状況では無かったという理由が大きい。与えられたポジションで良いプレーが出来なければ、待っているのは三軍以下への降格しか無いのだ。

試合に出られるなら、上のチームに上がれるならどこでも、なんでもやるというメンタルは結果として対応力に変化したのかもしれない。

 

専門学校では主に中盤としてプレーすることが出来たが、試合にはほぼ絡めず。

 

社会人チームでは公式戦にほぼ出れず、トレーニングマッチでは人数の関係もあって様々なポジションでプレーすることになった。その時でも、中盤がやりたいと思ったことはない。

だから、もっと結果が出せるという自信が羨ましいとも思うし、同時にすこしもったいないとも思ってしまう。

 

結果とは、ということを考える

 

サッカー選手にとって、結果とはなんだろうか。

筆者の中での結論から言えば、「どれだけチームの勝利に貢献できるか」だと思う。だから簡単に数字で計れるものではない。

点を取るからいいFW、と思ったこともない。得点なんて誰が取ってもいい。チームの戦いの副産物に過ぎない、とすら思っている。これは筆者がFWの経験がほぼ無いからかもしれない。

チームの勝利への貢献は様々な形がある。だからこそ選手自身が自分で結果を出せた、と安易に考えるべきではない。

あくまでも客観的な目線で貢献できているかを真摯に考えなくてはいけない。唯一自分で判断できるとしたら、映像で試合を見返す中で自分自身を駒として見たときにどう機能しているか観察したときだろう。

もっと点が取れるのに・・・と思っていても、要求されているのは得点じゃ無いかもしれないのだ。だから結果という言葉は呪いに近い。具体的に何かはわからず、勝敗という結末でしか計れないのに常に要求される。まさしく呪いだ。

 

じゃあ何を意識するべきか

 

と、ここまで持論を元に述べてきたが、

「じゃあどうすりゃいいのさ」

という話になる。

 

①自分の強みを考える

 

まずは前記したように、自分に期待されることを分析しよう。強みはポジションによって変わるものだけでなく、どのポジションでも発揮できるものもある。

スピードが武器のFWに、サイドで裏を狙って欲しくてサイドハーフ起用することもあるだろうし、組み立てが得意なボランチをサイドバックに下げ、更に下の①からビルドアップに絡んで欲しいと思う監督だっている。

ポジションにとらわれない自分の長所を今一度分析し、それをどうやって新しいポジションで発揮することが出来るかを考えてみると良いのではないだろうか。

筆者の例で言えば、1年生の時に言われた「ボールを奪う力」を信じてサイドバックではひたすら1vs1の守備にこだわり続けた。社会人時代にサイドハーフで起用された時も、プレッシングの質で少しでも貢献しようと考えていた。

サッカーは決して同じ場面は訪れないが、似ている場面はたくさんある。その少しの違いにどれだけ応用を利かせられるかが賢さに繋がる。

 

②チーム内での役割を理屈として理解する

 

これは①とは真逆に近い考え方になる。①では自分という選手をどう活かすか、という考えだったのに対してこちらは自分という個性をいったん全て消して考えて欲しい。

チームのコンセプトや共通理解として、このポジションには何が求められているのかをしっかりと理解することはとても大切だ。

サイドハーフで起用されているとのことなのでサイドハーフを例に取れば

・常に外に開いて横幅を維持するのか、中に絡みに行くべきなのか
・よりゴールに向かってプレーするのか、サイドから崩すのか

などといった、選手個人に依存しない「駒としての役割」があるはずだ。それを理解せずに自分の強みを出そうとだけ考えてしまっては、強みを見せてもチームには貢献できないプレーになってしまう。

ドリブラーがサイドバックを任されたとして、ビルドアップの局面で3人抜きに挑戦するのはリスクとリターンの釣り合わない狂気でしかない。それを期待して起用している、ということは有り得ない。サイドバックとしてのタスクをこなした上で、発揮するべき時に自分の強みで勝負しなくてはいけない。

チームに貢献するには、駒として動く覚悟と知識、理解が必要不可欠だ。

 

③ネガティブに捉えすぎない

 

監督が本望では無いポジションで起用するからには、必ず何か理由がある。だから決してネガティブに捉える必要は無いと思う。

もちろんFWとして争いに負けた、という悔しさは持ってて良いと思う。悔しさを感じなくなったら選手として終わりだ。

だがネガティブに捉えすぎず、評価されている、何かを期待されているという点も認識しておくべきだ。選手としての価値は、試合に絡めるかどうかが非常に大きい。たとえ望まないポジションだとしても試合に出れるのは、チームに必要とされているからだ。どのポジションでもサッカーはサッカーだ。試合に出る、試合で勝つという目的の前にはポジションは些細な問題でしか無い、と試合に出ることが叶わなかった筆者としては思ってしまう。

こだわりを捨てろ、とはまったく思っていない。ただ、必要とされることは選手として大切であり、それを達成しているという自信は持っても良いのでは無いか。むしろ自信を持ってプレーできるポジションが増えることは今後のキャリアを間違いなく広げてくれる。

せっかくなら欲張って

「サイドハーフも出来る選手に進化した上で、FWとして試合に出れるようになってやる」

と自分の成長に貪欲になってみてはいかがだろうか。

 

自分の中で整理を付ける

 

もやもやするのが悪いことだとはまったく思わない。競争相手は自分を成長させてくれるし、目標にも刺激にもなる。だが一方で、ピッチ内に迷いを持ち込むことは決して有意義とは言えないだろう。

自分の中で整理を付けると良いと思う。やっぱりFWを目指す、それもそれで立派な選択肢だ。だが試合に出る以上、起用された場所で全力を尽くすのもまた選手として必要なことである。

自分の中で折り合いを付け、目指すものを明確にした上でサイドハーフにも全力を尽くすと良いのでは無いか、と筆者は思う。

 

この記事は、相談の答えとしてはまったく回答になっていないかもしれない。だが、伝えたいことを全て詰め込んだつもりだ。少しでも参考にしていただければ幸いである。

 

 

 




 

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@山田有宇太

 

 

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