ヴィアティン三重の決断を、僕は滅茶苦茶かっこいいと思った話
先日、ヴィアティン三重に事件が起こった、と言って良いのだろうか。
とある出来事が起き、ネット上では大きな反発が見られた。
それに対するヴィアティン三重の対応、下した判断。僕はそれに多大なる賞賛を送りたい。
と同時に、この事件には捏造された情報も含まれている。今回はそんなことについて書きたい。
事の経緯
とあるツイートが拡散されたのが始まりだった。
ツイートの内容
このツイートは後述する理由により掲載しないが、
・サポーターに試合を見に来るな、という発言
・いわきFCの選手に対し、わざとファウルしたという発言を含む侮蔑的内容
・女性審判へ向けての性的侮蔑発言
などがYoutubeでの配信時にあったというツイートである。
このツイートは瞬く間に拡散され、大きな反響を呼ぶことになった。当然であるが批判だ。
ヴィアティン一度目のリリース
この動きを受け、ヴィアティンはまずリリースを出す。
「いわきFC、並びに応援して頂いている皆様へのお詫び。事実確認を行い、適宜報告をする。」
というもの。このスピードの早さと共に、適宜報告をするという宣言に注目して頂きたい。
二度目のリリース
1日後には現段階での進捗報告として、二度目のリリースが出た。
ここで筆者が驚いたのは、発言内容を不明瞭にせず公表したこと。
いわきFCに関する発言に関しては箇条書きで。それと共に、正式にいわきFCへの謝罪を申し入れたこと。
そしてその他の発言に関しては、ほぼ文字起こしと言ってもいいレベルで鮮明に発表した。
発言内容とツイートの差異
発言内容に関し、詳しくは公式ページをご覧頂きたい。
この中に、女性審判に対する性的侮蔑は無かった。つまり現時点の発表で言えば、この情報は虚偽だったということになる。この最初のツイートに関する虚偽疑惑は詳しく後述する。
またサポーターに対する試合に来なくていいという発言も、内容を見ると
「せっかくの日曜、他にやることあるだろうにサポーターって凄いな」
「選手二人が勤務している職場の人が見に来てくれているが、二人とも出場できないため気まずい。毎週来て貰っても・・・」
という申し訳なさを感じる発言となっている。これも事前にツイートから受けた印象とは大きく変わる。
筆者は実際の映像を見聞きしたわけではないため文面からの推測しか出来ないが、この気持ちはよく分かる。
プロの試合でもないのに貴重な休日を費やしてくれるのは本当に凄いと思うし、職場の人が来てくれるのにメンバー外というのは申し訳なさを感じるものなのだ。
もちろんこれをカメラのある場所で発言することの是非はまた別だ。だが、心理としてはとてもよく分かるなと思った。
擁護できない発言も確認できたが、ツイートで浸透してしまった内容は虚偽が含まれているというのは一つ、皆様にもっと周知されて欲しいところだ。
三度目のリリース
そして一日後、新たなリリースが発表された。
選手1名に対しリーグ戦2試合の出場停止、ならびに厳重注意処分
選手4名に厳重注意処分
という処分内容だった。
選手を切らない、という責任の取り方
ここで、該当選手を戦力外にすることは簡単だっただろう。騒ぎの鎮火も早いだろうし、批判も止まると考えられる。
だがヴィアティンは、その選手と罪を背負う覚悟を決めた。
今回の処分の内容については様々なご意見があると思いますが、JFLにもご相談させていただきながら、選手たち本人も深く反省をしていることから、クラブが責任を持ち、当該選手への教育を徹底し、そして同時に今後の人生に向けて若い選手が人として成長していく機会を与え、教育を続けていくという決断をさせていただきました。選手である前に社会の一員として成長できるよう~~
公式ページより引用
これが公式に発表された声明だ。
アマチュアクラブというのはプロとはまた違った世界だ。
おそらく選手を切ったとしても、年俸等に関わる賠償金は無いか少額なはずだ。またJFLに所属しているチームであれば、加入したい選手は多いため代わりが効かない、ということも考えにくい。選手の入れ替わりがプロより激しい面もあるし、ある種プロ以上に選手は消耗品となる世界かも知れない。
その中で、選手と罪を背負い、選手を守り、再起の機会を与えるというのは素晴らしい決断だと思う。コストだってバカにならないはずだし、リターンがすぐ見込めるわけでもない。
それでも、ヴィアティンは背負うと決めたのだ。
「天 天和通りの快男児」という漫画がある。
カイジの作者として有名な福本伸行先生が描いた麻雀漫画だ。
この中に登場するカリスマ、赤木しげるはこのように発言している。
自分の身とひきかえならば・・・
どんな違法も通るという誤解・・・
それで責任をとったような気になるヒロイズムとんだ勘違いだ・・・・・・
責任をとる道は身投げのような行為の中にはない
責任をとる道は・・・・・・
もっとずーっと地味で全うな道・・・・・・
責任を取ると言うことは、辞める辞めさせるよりももっと真摯なものだ。
失ったものを取り戻すまで逃げずに戦わなければいけない。それをヴィアティンは覚悟して表明した。
筆者はこの覚悟と決意、率直に言えばかっこいいなと感じた。男気と言ってもいいのかもしれない。
これからのヴィアティン
ヴィアティンと言えば、筆者が専門学生の頃から注目されていたクラブだ。所属する選手も強力、待遇も決して悪くなく、今後上に行く筆頭なのでは無いかと言われていた。
長らくJFLで苦しむヴィアティン三重。このクラブの挑戦の先、そして背負ったものの先に何が待っているのか。
筆者はこの決断を尊重し、見守りたいと思う。
番外、ツイートの信憑性について
最後にではあるが、拡散されたツイート。
このツイートは直前に作られたアカウントが直前に作られたアカウントのツイートをスクリーンショットして画像添付で拡散されている。
またツイートの内容も前記したように、実際と食い違う部分も少なくない。
事実に即した部分もあるが、ツイートしたアカウントの状況や虚偽の内容も含めて、悪意により話を大きくした可能性もある。
ヴィアティンが発言内容を正確に書き起こした理由には、これらに対する説明も含まれてのことだろう。正しい事実認識が広まることを切に願う。
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